動画生成AI領域で新興スタートアップ続々、HedraやCaptionなどの動向
動画生成の速さが売りのHedra
Hedraは、自社の強みとして、これまでの動画生成AIが苦手としてきた「スピードとコントロールのバランス」を取ることができる点を強調している。 同社によると、これまでクリエイターはAIによる動画生成を行う際、動画の詳細のコントロールと速度のトレードオフに直面してきたが「Character-1」は、速度と使いやすさの両立を叶えることを目指しており、生成時間が1分以内と、競合他社と比較して迅速に生成処理を行うことができる。 今後は、プラットフォームをよりマルチモーダルにすることに注力し、「ストーリー、サウンド、ビデオ生成を1つの統一されたワークフローに統合」できるようにする予定とのことだ。
動画の修正、編集から生成までカバーする「Captions」
一方、2021年に設立された「Captions」は、何度かタップするだけで、様々な修正や編集を行い、プロのような動画を作れるスマホアプリとしてスタートした。 その後、同社はAIの活用を本格的に行い、ユーザーがAIアバターを使用した動画をゼロから作成可能なサービスもリリース。主力製品であるiOSアプリに加えて、ウェブおよびデスクトップアプリケーションもラインナップに追加した。 ウェブとデスクトップ版ではiOS版よりも長い、最大30分のビデオがサポートされ、28以上の言語へのAI吹き替え、被写体の目線を修正するAIアイコンタクト、長編動画から短いクリップを抽出するAIショート、バックグラウンドノイズを自動的に除去するAIノイズ除去、AIキャプションや画像、サウンド効果の追加機能を備えている。
細かいカスタマイズが可能なCaptionsの動画編集
Captionsの多機能性は数百万人のユーザーの獲得に貢献したが、さらに今年初め、同社は生成AI機能を備えたAI CreatorおよびAI Edit機能を発表し、動画編集から動画生成サービスへと事業を拡大した。 新しく追加された機能には、取り込んだ動画コンテンツに基づいて、AIがカスタムグラフィック、ズーム、音楽、サウンドエフェクト、モーション背景などを追加する機能やユーザーがCaptionsでゼロから動画を生成できる機能などが含まれている。 同社のユーザー数は1,000万人以上に達し、生成される動画数は月間300万本以上となっており、シリーズCラウンドでは6,000万ドルを調達、評価額は5億ドルに達した。 この新たな資金は、機械学習チームの拡大と、社内研究活動および技術インフラへの投資継続に充てる予定とのことだ。 生成AIを活用した動画制作には、OpenAIやGoogleなども参入し、今後も次々と新しいサービスがリリースされることが予想される。フリーランサーから様々なサイズの企業まで、動画コンテンツの作成に多様な選択肢が提供され、制作のスピードとコストの両面で大きな変革が進行している。 今後、より多くの人々が高品質な動画コンテンツを手軽に制作できるようになり、マーケティングや教育、エンターテインメントなどの分野で、AI生成動画の活用が一層広がっていくのではないだろうか。
文:大津陽子 /編集:岡徳之(Livit)