中島みゆき

音楽評論家・田家秀樹が毎月一つのテーマを設定し毎週放送してきた「J-POP LEGEND FORUM」が10年目を迎えた2023年4月、「J-POP LEGEND CAFE」として生まれ変わりリスタート。1カ月1特集という従来のスタイルに捕らわれず自由な特集形式で表舞台だけでなく舞台裏や市井の存在までさまざまな日本の音楽界の伝説的な存在に迫る。 【写真を見る】『世界が違って見える日』時の中島みゆき 2024年1月の特集は、「中島みゆき2024」。1988年以来、中島みゆきのすべての作品を手掛けている音楽監督・プロデューサー・アレンジャー、瀬尾一三を迎え、前半4週間は1月17日に発売になる『Singles』【リマスター】、最後の1週は同時発売のライブアルバム『歌縁(うたえにし)-中島みゆきRESPECT LIVE 2023』とアナログ盤で発売になる『世界が違って見える日』を深掘りしていく。 田家：こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」マスター・田家秀樹です。今流れているのは中島みゆきさんの「わかれうた」。1977年9月発売、言うまでもなく初めてのシングルチャート1位の曲。今日の1曲目。1月17日に発売になったアルバム『Singles』【リマスター】からお聴きいただいています。え、こういう歌だっけ？というふうに耳をそばだてられた方、たくさんいらっしゃるでしょうね。こういうふうになりました。Disc3の5曲目です。 わかれうた / 中島みゆき 今月の特集は「中島みゆき2024」。ゲストはもちろん1988年以来、みゆきさんのすべての作品を手掛けている音楽監督、プロデューサー、アレンジャー・瀬尾一三さん。2020年のラストツアー「結果オーライ」以来のコンサート、歌会が先日1月19日から始まりました。今月は5週間みゆきさんの話をしていこうと思います。前半4週間は今日まで、1月17日発売の『Singles』【リマスター】。そして来週は同時発売されるライブ・アルバム『歌縁(うたえにし)-中島みゆきRESPECT LIVE 2023』を中心にお話をしていこうと思います。こんばんは。 瀬尾：こんばんは。初日が終わって2日目もどうにかなって、ちょっと気が抜けてますけど、よろしくお願いします（笑）。 田家：『Singles』』【リマスター】の最終週、Disc3の後半ですが、この歌に来ました。 瀬尾：これはもう言うことないですね。1つだけ言いたいことがある、何もないって言いながら（笑）。最初の出だしで〈途に倒れて〉というのは、僕の解釈だとこの「途」は漢字でも「途上」の「途」、だから英語で言うロードじゃなくて、ウェイだと思っているんですよ。マイウェイみたいな。みんな実際に「道」に倒れていると思っているんですけども、これは自分の夢に躓いたとか、そういうふうにとらえていて。でも、ほとんどの人が「道」に倒れてる、そんなやつはいるか！とかって思っているでしょうけど、「夜会」の2回目（1990年）、思い切り本人に転ばせて、「道」に倒れて歌ったんですよ（笑）。自分でパロっちゃわない？って話しかけて、「うーん」とか言ってたけど実際やったら自分で倒れて歌ったけれど、あれは自分でパロディをやっているんです。 田家：DVDになっていますからね。 瀬尾：その途中で「ひとり上手」を歌い始めるという。あれは彼女の本位でああやっているのではなくて、みんなが思っているだろうなというのをパロっているだけ（笑）。 田家：なんと言っても始まったときの、そうそうこういう声、歌って感じがありますもんね。 瀬尾：これはいろいろとやりやすかったですね。リマスターはすごく。 田家：やりやすい理由があるんですか？ 瀬尾：音像がちょっとクリアになれば、それだけでいいなという感じで。そんなに音は団子ではなかった。 田家：最後の10曲、これがどうなっているかというのをずっとお聴きいただけている方は楽しみにしてくださっているのではないかと思うのですが、「わかれうた」のカップリング、この曲もこうなりました。Disc3の6曲目「ホームにて」。 ホームにて / 中島みゆき 田家：1977年9月のシングル『わかれうた』のカップリング、不動の名曲。 瀬尾：ほんっとうにいいですね、これも。いつも聴く度に胸が締めつけられるというか、特に地方出身なので、僕は。でもこれ、旧「Singles」ではちょっと風呂場で歌ってるみたいな感じ（笑）。どうにかこれを録音スタジオぐらいの広さで感じられるようにと思って、そういうぐらいの広さは出たと思います。風呂場よりは出たと思います（笑）。 田家：この『Singles』は瀬尾さんが関わられる前の10年、11年の作品を集めているわけで。でも、瀬尾さんはこれ以外のオリジナルアルバムのリマスタリングは既におやりになって？ 瀬尾：はい、全部やりました。 田家：ボックス音源になってますもんね。そのときにこの曲の入った『あ・り・が・と・う』（1977）もやっている？ 瀬尾：やってます。 田家：今回はまた違うという？ 瀬尾：今回は『Singles』ということで、アルバムをマスタリングしたときとはまた違う。