年金月20万円もらえるはずが…月収34万円・66歳サラリーマン、想定外の「夏の賞与」に戦慄。年金機構から届く「年金支給停止」の通知に涙の理由
夏の賞与支給で「老齢厚生年金+給与」がまさかの「50万円超え」
一方で、定年を迎えたところで、年金を受け取ることにしたという田中さん。「色々な人の話を聞くと、年金は受け取れるときに受け取ったほうが後悔がないと思った」といいます。 老齢年金は一部を除き、原則65歳から受け取り開始となりますが、60~75歳の希望するタイミングで受け取ることができます。60~64歳で受け取るのを「繰上げ受給」といい、1ヵ月早めるごとに0.4%の減額。一方で66~75歳で受け取るのを「繰下げ受給」といい、1ヵ月遅らせるごとに0.7%の増額となります。ただ何事も長所があれば短所もあり、「原則通りに受け取るのが一番」というコメントが目立ちます。 田中さんは、65歳からは年金を月20万円を受け取るように。一方で給与は正社員時代の月収48万円から34万円へと大幅に減額になりました。それでも月54万円を手にでき、正社員の頃よりは気楽に働けるわけですから、「悪くない」と感じていたそう。 そんな定年あと、66歳の今年の夏。想定外のことが起きました。ほぼ見込めないといわれていた夏のボーナスが、雇用延長で契約社員として働く従業員にも支給されたのです。業績がよかったことに加え、シニア社員のモチベーションを高めるために、正社員同様に賞与を支給するよう制度改定が行われたというのです。 ――年金が減らされる!? 老齢年金は給与収入があっても受け取ることができますが、厚生年金保険に加入しながら働く場合、老齢厚生年金と給与の合計が月50万円(令和6年度の支給停止調整額)を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。 田中さんの老齢厚生年金は月13.2万円。給与は月34万円だったので、「合計47.2万円<50万円」で全額受給。しかしボーナスが支給されるようになると……「50万円<合計57万円」となる見込み。基準額を超えた場合、超えた分の2分の1が支給停止となります。田中さんの場合は、月3.5万円、年間42万円が支給停止になる可能性があるのです。 実際に年金停止となった場合、日本年金機構から届く「年金決定通知書・支給額変更通知書」の決定・変更理由欄に「勤務先からの届け出により、標準報酬月額(標準的な給与の額)が変更されたため、年金の支給停止額を変更しました。」と記され、年金停止後の金額が記されます。 ある程度、覚悟していたこととはいえ、「ただ頑張って働いただけなのに」と、年金停止の事実に涙してしまうことでしょう。 [参照] 日本経済団体連合会(経団連)『2024年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)〔最終集計〕』 株式会社フリーウェイジャパン『中小・零細企業、個人事業主を対象とした実態調査』 日本年金機構『働きながら年金を受給する方へ』