【解説】北朝鮮“衛星ロケット”を事前通告…狙いは? 専門家「国際ルールを守ることで…」
24日から31日の期間のどこで北朝鮮は打ち上げを行うのか。これまで事前通告があったケースから予測します。まず、2009年には4月4日から8日の間に打ち上げると通告し、実際に5日に発射しました。前回は5月31日から6月11日の間に打ち上げるとしていましたが、この期間の初日に打ち上げています。 これまで5回、通告がありましたが、いずれも打ち上げる予定の期間の冒頭から3日以内に打ち上げています。礒崎教授の見立てでは、「気象条件などに左右はされるが、条件が整えば、前例からみて早い時期に打ち上げるのでは」ということでした。
■打ち上げるのは「軍事偵察衛星」か 専門家「より正確にミサイルを打ち込むために」
そもそも、何を打ち上げるのか詳しくみていきます。 今回の打ち上げは「5月の失敗のリベンジ」です。なので、5月に打ち上げたものと同じく、今回も軍事偵察衛星を搭載したロケットを打ち上げるとみられています。 前回失敗した際、北朝鮮は「エンジンの異常で推進力を失って墜落した」としていて、「早期に再び打ち上げる」と強調していました。 礒崎教授は「ミサイルであれば堂々とミサイルと言うはずだ」と話しています。ただ、ロケットとはいえ弾道ミサイルと構造は基本的に同じです。「弾道ミサイルの技術を用いた発射は国連安保理決議違反だ」と岸田首相も強く批判しています。
礒崎教授によると「そもそも北朝鮮にとって怖いのは、アメリカと韓国が攻めてくることだ」といいます。それゆえに、礒崎教授は「アメリカや韓国の動向を探り、より正確にミサイルを打ち込むために、軍事偵察衛星という“正確な目”が必要」と分析しています。
■失敗する可能性も織り込み済みか…金正恩総書記のやり方を専門家が指摘
続いて2つめのポイント「失敗のリスク 織り込み済み?」をみていきます。 成功した場合と失敗した場合、北朝鮮にもたらす影響をそれぞれ聞きました。 まず成功した場合、「来月9日の建国75周年に向けて、国威発揚につながる」。打ち上げにはそうした思惑もあるということです。ただ、「今回の打ち上げは、成功したとしても初歩的なもので、あくまで第一歩。まだまだ、本格的な実用にはほど遠いとみられる」ということです。 礒崎教授は「軍事偵察衛星を軌道に乗せても、搭載されているカメラはどのぐらいの解像度なのか、北朝鮮に画像を送る技術がどこまであるのかわからないが、何度も打ち上げて軍事力アップを図っていくものとみられる」と話していました。 一方で、失敗したらどうか。「今回は再打ち上げなので、成功にこぎつけたいところですが、実は失敗する可能性も北朝鮮は織り込み済みだ」といいます。「確かに、過去には失敗したら北朝鮮のメンツに関わる部分があったが、金正恩総書記のやり方は、失敗は失敗と認め次の成功につなげるところがある」と指摘します。 ◇ 岸田首相は22日朝、「関係諸国と連携をし、北朝鮮に対して発射を行わないよう中止を求めること」「万が一、わが国の領域に落下する場合に備え、必要な体制を構築した」と強調しました。24日から1週間、北朝鮮の人工衛星の打ち上げに関する情報に注視しましょう。 (2023年8月22日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)