公務員人気、下がっているはずが…応募急増1・5倍に グッドデザイン賞に輝いた新庁舎、カフェもあり絶大効果 春日部市の採用試験が人気、多彩な人材確保へ オープン前、完成予想図を出した瞬間から受験者急増
長時間労働などを理由に公務員の人気が低下傾向にある中、埼玉県春日部市の職員採用試験の受験者が急増している。事務職の受験者は4年前から約1・5倍に増えた。市が大きな要因と分析しているのが、新しくなった市役所本庁舎の存在だ。ホームページの職員採用試験の案内では「きれいな職場」「利便性が高い」と積極的にアピールし、内定者らも志望動機の一つとして挙げている。 春日部市新庁舎、別角度の写真 オープン時は盛況 しんちゃん人気モニュメントの拡大写真も【写真4枚】
新庁舎は旧庁舎近くに2024年1月4日、開庁した。カフェを併設した地下1階、地上6階建て。落ち着いた色合いの外観とゆとりのあるスペース配置が特色で、敷地内に整備した広場などの公共空間は「2024年度グッドデザイン賞」を受賞。目的地情報など示す案内サインも「第58回日本サインデザイン賞」で銀賞を受賞している。 市人事課によると、事務職の受験者は20年度が494人(募集枠29人)、21年度が581人(同33人)だったが、採用情報に新庁舎の完成予想図を加えた22年度は728人(同24人)に急増。23年度も731人(同25人)と700人台を維持し、採用試験の説明会を新庁舎で開催した本年度はさらに増えて774人(同38人)となった。 内定者へのアンケート調査で「新庁舎に魅力を感じた」という声が寄せられているほか、職場環境の良さを挙げる若手職員も多く、同課は「新庁舎の効果で受験者が増えている側面があるのは間違いない」と認める。
本年度の採用試験は24年5月から25年1月にかけて、3回に分けて実施。筆記は別会場だが、面接は新庁舎で行う。ホームページの案内動画では、新庁舎の画像を表示しながら、岩谷一弘市長が「真新しいきれいな職場で利便性が高い。ぜひ来庁して体感してほしい」と呼びかけている。 受験者が多ければ、それだけ多彩な人材を確保できる可能性が高い。同課は「民間の採用活動が活発で公務員の人気が下がっている中、新庁舎というアピール要素があるのは大きい。人材教育に力を入れている点と合わせて、今後も魅力の一つとしてPRしていきたい」としている。