Hey! Say! JUMPの揺るぎない王道感 17年の活動の中でバランスの取れた“守り”と“攻め”の姿勢
Hey! Say! JUMP、新しい取り組みにも積極的
一方で、「ネガティブファイター」は作詞・作曲をうじたまい、コレオグラフは新しい学校のリーダーズが担当と、TikTokで活躍中のクリエイター陣を迎えるなど、新たな取り組みにも積極的だ。 過去にもダンスチューンを打ち出して新機軸を見せた「Ride With Me」(2013年)や、揃いの真っ赤な衣装と激しいダンスで注目を集めた「狼青年」(2020年)など、目の覚めるような大胆さでも驚かせてきた。 前述した『Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2023-2024 PULL UP!』でも、巨大なセットにはじまり、フロートやムービングステージなどを取り入れた華々しい演出も彼らならでは。 ダンスブロックでは、8人のボリューミーなフォーメーションに、重低音を響かせ、激しいダンスを披露するダンスでオーディエンスを圧倒した。光と音を浴びるクラブシーンを彷彿とさせながら、レーザーなどの照明と立ち込めるスモークの陰影を味方につけたミステリアスな雰囲気もまたHey! Sαy! JUMPだからこそ。8人に同じテイストをリンクさせながら個性を出すという、職人技が光る絢爛豪華なステージ衣装も魅力的で、全方位に見どころが散りばめられている。 何年経っても色褪せることのない楽曲の背景には、楽曲へのこだわりをはじめ、パフォーマンスに対する挑戦や個々の活躍も詰め込まれている。リスナーとして歌詞のメッセージや楽曲の世界観に魅了され、パフォーマンスに感情を揺さぶられた体験なども積み重なって深みを増していくのだ。 グループの冠番組をはじめ、メンバーのソロ活動も目覚ましく、俳優にバラエティにと多方面で活躍を続けるメンバーたち。そんな活動の一つひとつがYouTubeチャンネルのアクセスにも繋がっているのだろう。 アイドルの王道をひた走りながらも守りに入ることなく、バランスを保ちながら進化を続けるHey! Say! JUMP。作品が長く愛され続けているのは、しっかりとした王道感と、進化を止めないチャレンジ精神ゆえ。日本の音楽シーンでは様々なボーイズグループが誕生しているが、活動歴の長さを誇る彼らだからこその安定感と進化のバランスが取れたパフォーマンスがより光って映る。
柚月裕実