『海に眠るダイヤモンド』最終回は「怒涛の展開が続く予想外の結末」 主演・神木隆之介からラストメッセージ
座長として駆け抜けた神木隆之介を支えたのは?
――脚本・野木亜紀子さん、塚原監督、新井順子プロデューサーの作品は改めていかがでしたか。 「何があってもどっしり構えてくれている守護神みたいな3人がいて、とにかくかっこいい現場でした。野木さんの脚本の素晴らしさを言葉で表現するのは難しいのですが、キャラクターの感情をこちらが探さなくても、セリフやシーンと向き合っていると自然とキャラクターが出来上がっていく感覚。台本には書かれていない十字架や過去が、実際に演じてみるとその通りに背負っているように作られているんです。“生きている人間”が描かれていた台本だったなと改めて思います。 新井さんはいつも決断が速い。そして、楽しいことが好きな新井さんがまとめるからこそ、福田亮介監督や林啓史監督、府川亮介監督がいて、良い撮影環境が作られているのだろうなと思います。塚原監督は、頭の中に物語の全ての情報が入っていて、わからないことを聞くと絶対に答えてくれました。お芝居へのリクエストでは、例えば『写真を見たときに、衝撃を受けてください』など、シンプルな提案で無限の可能性を残してくれるんです。そのおかげで役者は本番までにあらゆる芝居の可能性を模索できるので、今までの自分にはなかった引き出しを見つけることができます。それが毎回楽しかったですし、勉強させていただきました」 ――正直、これがあったから頑張れた! ということはありますか。 「スタッフやキャストの皆さんが仲良くしてくださっていたので、毎日皆さんとお話するのが支えでした。僕は撮影現場でふざけてしまうくせがあるのですが、いつも笑ったり乗ってくれたりする方ばかりで。ピリッとすることもなく、和気あいあいと面白い話をしてくれる人がほとんどで救われていました。毎日行くとみんなに会えるのが楽しみで、特に賢将役の清水くんとの撮影があるときは、移動に5時間ほどかかるロケ現場でも、彼に会えることがモチベーションになっていました」 ――神木さんが思う撮影現場でのムードメーカーは誰でしたか。 「撮影現場の雰囲気は、府川監督が作ってくださっていました。どの作品の撮影現場であっても、主演がふざけても乗ってくれる人がいないとシーンとしてしまうのですが、今回は府川監督が率先してツッコんでくれて。俳優部も府川監督の存在があったからこそ存分にワイワイ楽しく撮影に臨めていました。福田監督もドライ(お芝居の動きの確認作業のこと)でふざけるとめちゃくちゃ笑ってくれて、『むしろこうする?(笑)』とノリノリに。その提案が突飛過ぎてこちらが止める…みたいな楽しいやり取りが繰り広げられながら、自由にお芝居ができる環境でした」 ――最終回で、鉄平の行方を知ったときはどう思いましたか。 「『そっか…。でも鉄平が決めたことだからな』と思いました。SNSでは、野木さんのファンの皆さんが『やっぱり一筋縄ではいかない野木脚本だ!』とコメントしてくださっていて、鉄平や玲央をはじめ、それぞれのキャラクターが何かの十字架を背負っていて、彼らがどういう人生を全うしてどんな結末を迎えるのか。それがすごく深くて苦しい、と。僕もその通りだなと思いながら演じていました」 ――では、最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いいたします。 「僕にとって、本当に誇れる作品になりました。スタッフやキャストの皆さんも口々に同じようにおっしゃっていて、僕たちの中に刻まれていく作品になったんだなって。最終回は、“時代はちゃんとつながっている”というのがキーワードです。すべての謎のピースがパチっとはまりますし、怒涛の展開が続く予想外の結末になっているはず。端島のパワーや歴史が、玲央が生きる2018年に残っていることを実感していただけるので、ぜひ最後まで見ていただけたらうれしいです!」 物語にかける思いや撮影の日々を惜しむように語ってくれた神木。5か月にわたる撮影期間で彼が演じた鉄平と玲央は、ただのキャラクターではなく、時代を超えて受け継がれる“生きた人”として私たちの心に残り続けるだろう。いよいよ幕を下ろす70年という時の流れが紡いだ壮大な愛の物語。すべての伏線がつながり、歴史が未来へと受け継がれる瞬間を、ぜひ目に焼き付けてほしい。
ENCOUNT編集部