沖縄で米軍人による性暴力事件続発 市民ら嘉手納基地前で「フラワーデモ」
沖縄に駐留する米軍人による少女らへの性的暴行事件が相次いで明らかになり、性暴力の根絶を訴えているグループ「フラワーデモ in KOZA」が6月28日、被告の一人が所属する米軍嘉手納基地(沖縄市など)の第2ゲート前やコザゲート通りで集会を開いた。 SNSの呼びかけに応じ、約100人が参加。黄色やピンクと彩り豊かな花を掲げて被害者に思いを寄せるとともに、事件の有効な再発防止策を打たないばかりか、半年も公表しなかった日米両政府や米軍に怒りと不信の声を上げた。 コザゲート通りは、第2ゲートを起点とする沖縄市の中心市街地にあるメインストリート。レストランやミュージックバーが立ち並び、米軍関係者も多く行き交う。 参加した人たちは「Give back Our girl,s Dignity(私たちの少女の尊厳を返して)」「NO RAPE! NO BASE!」などのボードを掲げて抗議した。主催者の女性は「頻発する犯罪に黙っていられない。腹の底からマグマが燃え上がるような思い」と訴えた。 岸田文雄首相が沖縄を訪れ、基地の集中について「重く受け止め、負担軽減に全力を尽くす」とあいさつした6月23日の「慰霊の日」から始まった1週間。皮肉にも、在沖米軍人の性的暴行事件が3件も発覚し、沖縄にかかる異常な基地の重圧が改めて浮かび上がった。 まず、25日。嘉手納基地所属の空軍兵が昨年12月、16歳未満の少女をわいせつ目的で誘拐、暴行したとして今年3月に起訴されていたと報道された。3日後のデモ当日には、5月に女性暴行事件を起こしたとされる海兵隊員の逮捕・起訴が明らかに。不起訴にはなったが、1月にも別の海兵隊員が逮捕されていた。いずれも沖縄県警は発表せず、米軍や日本政府も情報を沖縄県に伝えなかった。 日米合意の通報手続きは空手形だ。地元だけが知らず、県民が被害に遭っていた。玉城デニー知事は「野放しの状況。遺憾の意を超えている怒り」と憤った。 隠された半年間。国は名護市辺野古の新基地建設で県の権限を代執行するという前例のない強権を使い、軟弱地盤のある大浦湾側の埋め立て着工にこぎつけた。4月の日米首脳会談、6月は沖縄県議選挙と政治日程も立て続けだった。 デモでは「隠蔽」に怒りが噴出。沖縄市の新垣邦雄さん(67歳)は「日米関係を揺るがす大問題であり岸田首相が知らないわけがない。少女を守れなかった首相として謝罪すべきだ」。別の女性は「政府は不利になることを教えない。そういう天秤に沖縄はかけられている」と声を詰まらせた。