『怪獣8号』福西勝也×瀬戸麻沙美×加藤渉が考える、“夢と年齢”との向き合い方
福西勝也とカフカは似ていて「運命を感じる」
ーー『怪獣8号』でみなさんが演じる、それぞれのキャラクターの印象について教えてください。 福西:ずっと思っているのは「カフカのこと、みんな好きじゃん!」ってことですかね。演じている身で言うと、変な照れも入っちゃいますけど……。“おじさんの主人公”っていうシンプルな属性だけ見ても、少年誌ではちょっと斬新で面白いじゃないですか。しかもカフカは、カッコいい部分や渋さよりも、情けない部分であったりとか、カッコ悪くて泥臭い部分がたくさんフィーチャーされている。そんなところもおじさん主人公としては珍しいし、好かれている一因でもあるのかなぁと。 ーー弱さも見せてくれるからこそ、共感できるポイントも多いキャラクターですよね。 福西:そうなんですよね。私はもともと泥臭い兄貴分的なキャラを好きになりがちなんですけど、 そこにドンピシャなカフカが主人公に据えられている。もうその時点で好きだし、演じていくにつれ自分と似ている部分も見えてきたりして、個人的により好き度が増しています(笑)。失敗した日は家に帰ったら落ち込むんだけど、そこで一度フラットに戻したり、人と会うことでリセットして、また盛り上がれたりとか。 日々の過ごし方や人間としてのあり方が、結構私と似通っていて。あと私、このヒゲ高校生の時から生やしてるんですけど……。 ーーええっ! 福西:10代の時から、生やしてまして(笑)。そういうビジュアル面でもちょっと運命を感じながら、日々演じております。なので、気持ち的にもかなり自然な領域でお芝居をしているなっていう感じですね。 加藤:福西さんが演じているカフカって、“演じている感”がないんですよね。本当に恥ずかしげもなく照れくさいことを言って、それに対してレノが「また言ってるよ、この先輩は……」ってツッコむ。素で出てくるリアクションができる感じが、ありがたいですね。 瀬戸:カフカって、やっぱり人間関係の経験値がある人だなって感じがする。ちゃんと何か言う前に1回飲み込める人であり、思考してから話せる人。年齢もあるかもしれないけど、自分が劣等感を知っている人だからこそ、すぐに思ったことを口に出さないで、ちゃんと噛んでから喋れるおじさんだなっていう印象ですね。福西さんが演じられているカフカは、そんなカフカの人の良さみたいなものが出ている気がしています。 ーーミナ、レノはどうでしょうか? 瀬戸:ミナは最初の印象は、遠い存在ですかね。怪獣大国でのみんなのヒーロー。幼なじみのカフカの目から見ても、手の届かない存在じゃないですか。「彼女の本心はどこにあるんだろう?」って、ちょっと心配になっちゃうようなところはありました。でも彼女なりに「きっと隊長としてしっかりしていなきゃいけない」葛藤みたいなものを乗り越えたあとなんだろうと思いました。演じる時に気をつけていたのは、戦闘で指示を出すときの言い方だったりとか、緊張感だったり。自分の発言が周りに響を与える人だから、「ミナ自身も気をつけているんだろうな」と思うところは意識して演じました。 加藤:レノって、元々僕の中では「熱いヤツ」っていう認識だったので、熱い人として演じたかったんです。ディレクションとしてもレノは必死なので、「成長したと思っても成長を見せつけるようなお芝居をしないでほしい」とは言われていました。その後、本編でレノとして重大な局面を迎えるシーンの収録の際に、「レノってこういうやつなのかもしれない」と途中から気付いたこともありました。誰かのために命を張れる人を守れる人に自分はなりたい。レノは、そういうキャラクターなんじゃないかなって。考えた上で収録に臨めたのは、いい経験になりました。