給水車のホースに群がるインド人 人口増加で最も心配されるのは水不足
ポリタンクを抱えた人々が、我先にと押し合いながら、給水車から伸びるホースを取り合っている。一角ではおばちゃんたちの喧嘩まで始まった。人口2000万を超えるインドの大都市ムンバイ。例年になく雨の少なかったこの年、乾季に入ってからの給水制限のため、人々は水に飢えていた。人口過密の上に、インフラの整わないこの町は、普段から水不足に悩まされている。 人口増加によって一番怖い問題が水の不足だ。生命に直接関わる水は、まさに生死に直結する最重要の資源であるから、水をめぐる民族間や国際間の対立も絶えることがない。水資源が豊富で、そんな問題には縁のないような日本も、実は将来どうなるかはわからない。
地下に眠る上質な水を目当てに、10年ほど前から中国人をはじめとした、外資による森林の購入が進んでいるのだ。莫大な人口を将来支えていけるだけの水資源を持たない中国は、アジア各地でその確保に躍起になっている。不動産取得の規制が緩く、外国人でも土地を購入、所有が簡単にできる日本は格好のターゲットだ。北海道では、急増する外資の森林購入を憂慮して新たな条例を制定したが、購入者の事前把握という程度で、効果的な歯止めにはなっていない。 今の日本の法律では、外資による土地の「爆買い」には全く太刀打ちできないのだ。早急に効果的な手を打たなければ、日本の水を外国人から買う、そんな日がこないとも限らない。 (2010年3月撮影) ※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォトジャーナル<人口増加の脅威>」の一部を抜粋したものです。