創価学会=公明党と自民党の関係に異変?「信仰」と政治の「秘められた関係」
「政治と宗教と野球の話はするな」との俗言もあるが、私たちは宗教のことをどれだけ知っているのだろうか。知らなければ語ることもできない。伝統仏教からスピリチュアルまで令和の現状を追う。」 【一覧】これが日本の7大新宗教だ!
公明党=創価学会のおかげ
「比例区は公明党をよろしくお願いします!」 10月27日投開票の衆議院選挙では、自民党や公明党の候補者が街角でこう大声を張り上げるのを見た人も多いに違いない。 自民党が公明党と連立政権を組んでから、はや四半世紀。小選挙区での自民党候補者を公明党の支持母体である創価学会が応援し、その見返りに比例区では自民党支持者が公明党に投票する。 しかし、クリーンを売りにしてきた公明党にとって、今回の選挙で裏金問題がくすぶる自民党候補者に推薦を出すことはリスクではなかったのか。 そのカラクリを『権力の核心「自民と創価」交渉秘録』を10月1日に上梓した元首相補佐官の柿崎明二氏が説明する。 「自民党の小選挙区の候補者には、公明票が基礎票として上乗せされています。一方、公明党の比例候補は、自民党支持者が比例で公明党に入れることで当選できる構図になっています。自公は互いの存在なくして選挙に勝つことができない状態になっているのです。 ただ、この仕組みは自民党に逆風が吹くと逆回転します。小選挙区で自民党候補者の落選リスクが高まると、比例で復活当選をしたいという思いにかられ、比例票を公明党に回さなくなる。したがって、比例単独の公明党候補者は当選しづらくなるのです。こうした苦しい選挙戦ですが、公明党はなによりも政権与党にいることを優先するので、裏金問題を抱える自民党とともに、今回も戦うしかなかったのです」
「信仰」と「政治」の関わり
戦後の日本政界では、高度成長期に勢力を拡大させた新宗教が「票田」として陰に陽に政治に影響を与えてきた。なかでも'12年に政権に返り咲いた自民党は、創価学会と公明党の存在抜きに語ることはできない。そして創価学会にとってもはや選挙活動そのものが「信仰」となっているのではないか。そう指摘するのは、『宗教問題』編集長の小川寛大氏である。 「創価学会は新興宗教の枠組みで見られることが多いですが、その実態は他の新興宗教と違って相当特殊な団体です。選挙を中心に結束している宗教団体と言っていいでしょう。地域の創価学会員たちの集会『座談会』の内容は、今や多くが選挙の話です。 たとえば、都内の公立学校には最近クーラーが完備されるようになったのですが、これは公明党の都議ががんばって小池(百合子)都知事を説得したことになっている。『うちの孫が健やかに学校生活を送れるのは、公明党=創価学会のおかげ』というわけです」 創価学会は、地方出身の低所得者層を中心に、都市部で信者を獲得してきた。『創価学会の研究』の著書がある放送大学教授の玉野和志氏が、創価学会の拡大の背景について解説する。 「高度成長期に地方から都市に流入してきた人たちが、新しい環境で困難に直面したときに、創価学会の教えや信者同士の連帯の力を頼った側面があります。 また、生活水準で見たときに、まだ社会の下層に位置づけられていた人たちが、毎朝『南無妙法蓮華経』とお題目を上げる勤行を行うことで自らの生活を律して、仕事などに前向きに取り組んで成長し、社会的な階層を上昇させていったというポジティブな役割もあります」 池田大作3代会長は'64年に公明党を結党し、衆議院にも進出。ただし、「折伏」と呼ばれる強引な布教活動と、「天下取り」を公言する池田名誉会長の野心が世間の反発を呼び、党勢は伸び悩む。創価学会も地域社会との間で摩擦と緊張を生じさせていた。創価学会は日蓮正宗の信徒団体だったが、対立の末、'91年に破門されたことが転機となったと、玉野氏は指摘する。