京都の不安解消が焦点となった北陸新幹線 首長は懸念を改めて表明
北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸計画で京都府内を通る詳細なルートについて、与党の整備委員会が当初目指していた年内決定が見送られた。2025年度中とされていた着工時期も遅れる見込み。地下水への影響や財政負担に対する府内の懸念が解消されるかが今後の焦点となる。 【写真】ヒアリングを受けた後、取材に応じる西脇隆俊・京都府知事(右)と松井孝治・京都市長=2024年12月13日午前9時17分、東京都千代田区、西崎啓太朗撮影 20日に開かれた整備委は、3案のうちJR京都駅に東西方向で乗り入れる「東西案」を除外し、同駅に南北方向で乗り入れる「南北案」、JR桂川駅付近に新駅をつくる「桂川案」の2案を今後検討することを決めた。 整備委の西田昌司委員長(参院京都選挙区)は会合後、沿線自治体や地元関係者の地下水などに対する不安の解消を優先すると強調した。 西脇隆俊知事はこの日の定例会見で、西田氏の発言について「私どもがヒアリングでお話ししたことに対する一つの回答としてお話しされたと推測している」と語った。西脇知事と松井孝治・京都市長は、地下水への影響や建設発生土の処分方法などについての懸念を整備委に表明していた。 延伸計画を進める条件として、西脇知事は「地下水をはじめとする施工上の課題に対してきちんと検討を加えた上で、慎重な調査と丁寧な地元説明に努めてもらう必要がある」と国などに注文をつけた。 報道陣の取材に応じた松井市長は「一定程度、私どもの地元の懸念についてもお聞きいただき、慎重なご判断をいただいた」と話した。選択肢として残る南北案と桂川案の評価については「いずれにしても懸念がある。より詳細な情報をいただかないとわからない」と述べた。 自民党京都市議団の寺田一博代表幹事は「年内に決まると聞いていたが見送られたのは、日程以上に、京都の意見を受け止めていただいた結果だ」という。「大切なのは情報。地下水や交通渋滞の問題が大丈夫なら、大丈夫といえる情報を出してほしい。今後説明を聞いて判断したい」と話した。 一方、自民府議の一人は「整備委の会合ではもともと意見の隔たりがあった。さらに京都の知事や市長が聞き取りで地元の懸念を強く訴えたことが、今回の見送りにつながったのでは」と指摘する。「現行の小浜・京都ルートがスピードダウンし、このまま整備委の議論がまとまらない可能性もある。米原ルートや舞鶴ルートを望む声はより高まるかもしれない」と話した。(西崎啓太朗、武井風花)
朝日新聞社