大阪唯一の「掩体壕」など 戦争遺跡を辿る案内人の思い
戦争遺跡と向き合い地元の戦争知り平和の大切さ学べる
大西さんの戦争遺跡調査のフィールドは八尾市に留まらない。隣接する柏原市などの河内地方や大阪全域までまなざしを向ける。 服部(豊中市)、鶴見(大阪市など)、久宝寺(八尾市など)、大泉(堺市)の4つの緑地は戦時中の防空緑地で、空襲を受けた際の住民の避難場所として想定され、空襲に対抗する高射砲が設置されていた。羽曳野市の駒ケ谷に敵機の目を逃れて航空機の部品を製造する地下工場が完成したが、稼働直前に終戦を迎えたという。 大西さんは「戦後70年あまりを経て、戦争の記憶が薄れていく中、戦争遺跡と向き合うことで、地元で戦争があったことを肌で感じ、平和の大切さを学ぶことができる。戦争遺跡に関して、ご存知のことがあれば、ご教授いただきたい」と、広く情報提供を呼びかけている。大西さんの著書名にあるように、今も身近なところに戦争の記憶が埋もれている。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑) ■大西 進(おおにし・すすむ)1940年、大阪府八尾市生まれ。大阪府立八尾高校、府立大学農学部を卒業後、63年近畿日本鉄道入社。2002年、常勤監査役で退職。03年、国の遺骨収集団の一員として、父親が戦死したニューギニアを訪問。以降、ふるさと八尾の戦争遺跡の調査を始める。河内の戦争遺跡を語る会代表。12年、「日常の中の戦争遺跡」(アットワークス)を出版。