ミス日本に選ばれたウクライナ出身女性をめぐる議論…多様化が進む日本において、改めて「日本人とは何か」を考えるきっかけに
Cartoonがパーソナリティを務めるinterfmで放送中のラジオ番組「sensor」(毎週金曜19:00-22:00放送)。番組コーナー「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。 今回のテーマは、「ウクライナ系日本人が優勝で大論争。日本のミスコンはアメリカZ世代からこう見えている」。ウクライナ系日本人の椎野カロリーナさんがミス日本コンテストで優勝したことについて「NY Future Lab」のメンバーがそれぞれの思いを語りました。
◆アメリカZ世代は日本のミスコンをどう見る?
1月22日(月)、第56回ミス日本コンテスト2024において、ウクライナ系日本人(※)の椎野カロリーナさんが優勝し、大論争が起こりました。このニュースはアメリカのCNNでも取り上げられ、国外でも注目されているトピックです。ニューヨークのZ世代で構成されているラボメンバーたちは、ミス日本の優勝結果についてどう感じたのでしょうか? ※カロリーナさんの両親はウクライナ人。本人もウクライナで生まれ、5歳のときに来日。2022年に日本国籍を取得しました。 カロリーナさんは不倫疑惑で賞を辞退しましたが、その前にラボメンバーの話し合いがおこなわれたため、不倫の問題については触れていません。ミスコンの在り方、女性の美しさについて聞いてみました。 シャンシャン:なぜこれが論争になるかはわかる。記事を読んでいると、まず彼女が言っていることは、理にかなっているんだよね。自分が日本人であることを証明したいと望んでいる。もちろん法的には日本人だから、これは間違っていない。でも同時に、彼女は日本人の血を引いていないし、顔に日本人的な特徴もないんだよね。つまり、このコンテストがどういう基準で女性を選んでいるのかが、重要なんじゃないかな。 もしも、日本でもっとも美しい女性を探しているのなら、あきらかに彼女は参加する権利がある。だけど、日本人の血を引く女性のなかで誰がもっとも美しいかというコンテストなら、また少し違う話になるよね。 ノエ:彼女は参加する権利があるんじゃない? だって、このコンテストは「ミス・ジャパニーズ」ではなく「ミス・ジャパン」だから。彼女は日本に帰化している日本人だよ。 シャンシャン:もしコンテストが本当に日本の女性に焦点を当てたいのなら、ルールで明確に「日本民族である必要がある」と書くべきだったのでは? ミクア:ミスコンって外見に大きく基づいているでしょう? 日本人であるかどうかの大きな部分は、見た目にかかっていると思う。そこがアメリカやヨーロッパと大きく違うよね。アメリカではどんな外見でもアメリカ人と見なされるから。 ノエ:たしかに日本って民族的にとても均質で、統一された国だからね。 ミクア:だから、ちょっと難しいのは「日本だから」だよね。そして、彼女の美しさはそれが日本人のものと考えられるべきか、ヨーロッパ人として考えられるべきかで論争が起きるんだと思う。 多くの日本人が彼女を見て「私が考える“本当の日本の美しさ”を代表していない。ヨーロッパ的なものを代表している」と感じる可能性はあるよね。 日本は日本民族が98パーセントと、圧倒的なマジョリティです。Z世代評論家のシェリーは「日本人であるということと、見かけは強くつながっているんだと思います」と、論争が起きた背景を推測します。 ダイバーシティの国アメリカは、ヨーロッパ系白人が60パーセント、ヒスパニック系が19パーセント、アフリカンアメリカンが12パーセント、アジア系が6パーセントで構成されています。多種多様な人々が暮らすアメリカではどんな顔や肌の色であっても「アメリカ人」とみなされます。 今回のミス日本コンテストの結果は、移民や外国人が増え多様化が進む日本において、改めて「日本人とは何か」を考えるきっかけとなりました。