2023年の建設業倒産1,693件 増加率40%超は32年ぶり 物価高で疲弊するなか「2024年問題」も差し迫る
業種別 職別工事業が前年比51.6%増、設備工事業が同45.7%増で増加が際立つ
業種中分類別では、最多の総合工事業が680件(前年比31.7%増、構成比40.1%)だった。次いで、職別工事業634件(同51.6%増、同37.4%)、設備工事業379件(同45.7%増、同22.3%)だった。総合工事業が最多件数となるが、増加率をみると下請け色の強い職別工事業、設備工事業が高くなっている。 さらに細かく分類した小分類別では、建築工事業が254件(前年比30.2%増)で最多。次いで、土木工事業216件(同26.3%増)、管工事業163件(同34.7%増)、とび・土工・コンクリート工事業147件(同72.9%増)と続く。
原因別 受注不振(販売不振)が約7割
原因別では、最多の受注不振(販売不振)が1,185件(前年比47.3%増)で、全体の約7割(構成比69.9%)を占めた。次いで、「既往のシワ寄せ」283件(前年比34.1%増)、代表者の病気や死亡を含む「その他」57件(同14.0%増)だった。 『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は、1,480件(同44.1%増)で全体の約9割(構成比87.4%)を占めた。
形態別 消滅型倒産が9割超
形態別では、最多が破産1,581件(前年比41.1%増)。次いで、取引停止処分55件(同61.7%増)、民事再生法39件(同69.5%増)、特別清算16件(同14.2%増)と続く。 このうち、「消滅型」倒産は1,597件(同40.8%増)で、全体の9割超(構成比94.3%)を占めた。業績低迷から経営を立て直せず、消滅型を選択せざるを得ない実態が浮き彫りになっている。
資本金別 1千万円未満が7割
資本金別では、1千万円未満が1,244件(構成比73.4%、前年873件)で7割を占め、中小・零細企業の倒産が中心だった。内訳は、1百万円以上5百万円未満549件(前年比50.4%増)、個人企業他312件(同24.8%増)、5百万円以上1千万円未満289件(同45.9%増)、1百万円未満94件(同56.6%増)。 このほか、1千万円以上5千万円未満が436件(同43.8%増)、5千万円以上1億円未満が12件(同33.3%減)、1億円以上が1件(前年ゼロ)だった。
地区別 9地区のうち8地区で前年を上回る
地区別では、四国(28→27件)を除く8地区で前年を上回った。北海道(前年比200.0%増)を筆頭に8地区で2桁増を示し、全国的に倒産が増加した。なかでも、北海道は新幹線の延伸工事や先端半導体メーカーの進出など大型工事が目白押しながら、資材価格の高騰や人手確保に伴う労務費の上昇が足かせとなり、採算悪化から倒産するケースが見られた。