常総学院練習、記者が体験 入念なアップけが予防 寒空の下1時間、息も絶え絶え… /茨城
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する常総学院は、厳しい寒さの中でもけが無く練習に臨むため、冬の土日は約1時間かけてウオームアップをしている。松林康徳部長(38)の「取材するなら選手と同じ目線に立たないと!」という一言から、運動不足の記者(29)も2月中旬、筋肉痛におびえながら交ぜてもらった。【川島一輝】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 冬アップの内容はこうだ。まずは松林部長を先頭に5列の隊列を組んでグラウンドを約7周、距離にして3キロ弱を約20分間ランニング。その後はスキップや短距離ダッシュ、肩を回すなどしながらグラウンドを数周して全身運動を行い、最後は塁間27・431メートルを馬跳びして締める。 このメニューが素人にはしんどい。1年ほど前までは週に1、2回自宅の周りを走っていたが、最近は11月ごろに一度走ったくらい。ランニングの序盤から息が上がり、後ろから追うのがやっと。伴走してくれた荒木大輔コーチ(29)が「前の松林先生は僕らの九つ上ですから、まだまだですよ!」と活を入れてくれたが、言葉を返す余裕はなかった。 そして松林部長が「ランニングラスト1周!」と掛け声を発した瞬間、隊列は一気に加速。体力の限界を迎えていた記者は当然付いていけず、遠のく意識のなか半周以上遅れて走り終えた。 全身運動には息を整えて所々参加したが、終盤は膝が笑い始め、言うまでもなくギブアップ。その日のうちから筋肉痛の予兆が出て、それから2日は生まれたての子鹿のようにしか歩けなかった。他方、選手たちは爽やかな汗を流しながら最後の馬跳びまでやり遂げ、更に6時間程度練習を続けた。 選手たちはどう感じているのか。池田翔吾(2年)は「慣れましたが、正直今でもきつい」と本音を吐露する一方、「松林先生が先頭にいるので弱音は吐けないです」と意地を見せる。病み上がりだった永木豪(同)は、「休み明けだったので、やばかったです。(今日は)倒れると思いながらやっていました」と苦笑いを浮かべた。 冬は寒さで筋肉が固まりやすく、けがをしやすい。松林部長は「寒い時期でも全力で練習するための準備運動として全身が温まるメニューを組んでいる。予防措置なので、これでへばっていたらダメですよ」と笑う。冬空の下、欠かすことなくアップと練習をこなしてきた常総ナインは、自信を持って3月18日の大会開幕を迎える。