【独自・冤罪被害者側に密着】最高裁が初判断 「検察なめるな」発言など「特捜部取り調べ映像」提出命じる
不動産取引をめぐる21億円の横領事件で罪に問われた男性が裁判で無罪となった冤罪事件。 【動画で見る】「検察なめんな」や「机たたく姿」も 冤罪めぐり特捜部取り調べ録画録音計約18時間分証拠提出へ 問題が指摘されている検察の取り調べの録音録画について、最高裁判所が史上初の判断をしました。 この判断を勝ち取る過程を独自取材しました。
■最高裁の封筒の中身は…
17日午後1時すぎ弁護士事務所にある封筒が届きました。 【無罪になった山岸忍さんの代理人 中村和洋弁護士】「最高裁判所からの封筒で、弁護士宛てにきています。これから封を開けて、中を確認したいと思います」
■「プレサンス」元社長・山岸さんが逮捕・起訴されるも無罪になった冤罪事件
不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんは土地取引をめぐり、部下らと共謀して21億円を横領したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴されました。 しかし、その後の裁判で無罪が確定。 判決の中で大阪地裁は、検察官が行った山岸さんの元部下に対する取調べについてこう指摘しました。 【坂口裕俊裁判長(当時)】「必要以上に強く責任を感じさせ、その責任を逃れようと、真実とは異なる内容の供述に及ぶ強い動機を生じさせかねない」
■特捜部の取り調べの映像の裁判への提出が争われる
判決の後、山岸さんは検察に対して国家賠償請求訴訟を起こします。 その中で国(検察側)に取り調べの映像の提出を求め、大阪地裁は「4日間およそ18時間分」の提出を命じました。 しかし国は不服を申し立て、大阪高裁はことし1月、範囲を大幅に狭め公開範囲を「48分間」のみとする決定を出したのです。
■「検察なめんな」「机たたく」シーンも
この決定によって公開されなかった部分には、このような取り調べの実態が記録されています。 (弁護団監修のもと再現した内容) 【大阪地検特捜部(当時)田渕大輔検察官】「(振り下ろし手の平で机を1回たたく)「嘘だろ!今のが嘘じゃなかったら何が嘘なんですか!」 【大阪地検特捜部(当時)田渕大輔検察官】「命かけてるんだよ!検察なめんなよ!命かけてるんだよ、私は」 山岸さんはこの大阪高裁の決定に不服を申し立て、判断は最高裁判所に委ねられていました。