息子も規格外! 辰吉Jr、2週間前に交通事故に遭いながらKO勝利!
プロボクシングの辰吉寿以輝(18才、大阪帝拳)と岡村直樹(26才、エディタウンゼントジム)のバンタム級4回戦が20日、大阪門真市のなみはやドームで1700人のファンを集めて行われ、辰吉ジュニアが2ラウンド2分28秒、KOで勝利した。実は、2週間前に巻き込まれていた交通事故のアクシデントを乗り越えての連続KO勝利。父の元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎も、「黙ってくれと言っていたので言わなかったけど尋常やない」と脱帽。辰吉ジュニア伝説のスタートだ。
会場はほぼ満席。 関西地方では、深夜で地上派中継され、ニコニコ動画で生中継された。 茶髪にパーマ。親父譲りの白いトランクスに赤のライン。リングイン直後に親父は場内を睨みつけるようにリングを回ったが、息子は、右手を振り回しながらグルっと一周した。 ゴングが鳴ると1勝3敗の公務員ボクサーのスピードに翻弄されたかのように見えた。 1ラウンド。「緊張からか、硬さが目立ったな」と、偉大なる父が評した立ち上がりに左ジャブからワンツーをもろに受けてしまうシーンもあった。 だが、非凡なるDNAがすぐさま覚醒する。 「1ラウンドが硬かったので左を突いていこうと考えた」 左の突き合いからパワーで圧倒して岡村を下がらせると、今度は右のダメージブローを効かせた。上半身を使ったスウェーで相手のパンチを外して、すぐさま右。辰吉がフィニッシュの匂いを漂わせ、会場がヒートアップしてくると、その期待を裏切らない。ガツンと左ストレートを合わせて岡村をキャンバスに沈めた。カウント途中でコーナーから青いタオルが舞った。 デビュー2戦目もKO勝利となったが、辰吉Jrは、「ディフェンスをもっと練習しないと。打たれたので、次こそスカっと勝ちたい」と、浮かれてはいなかった。 実は、2週間前にアクシデントに見舞われていた。試合後、吉井寛会長が明らかにしたものだが、自転車に乗っているときに、自動車にひっかけられて転倒。自転車がグチャグチャになるほどの激しい事故で、もちろん怪我を負った。 父の辰吉が言う。 「本人が『言わないでくれ』というので、黙っていたけど、あんな状態でよく試合やったよ。尋常じゃない。満足に走れんかったんとちゃうかな。自転車は廃車やから(笑)」 1ラウンドに岡村にペースを握られたほど動きが堅かった原因は、事故の影響だったのだろう。父の辰吉も、現役時代、よくリング外で事故に巻き込まれていたが、試合を延期したのは、晩年の一度だけ。「一切言い訳をせずリングに上がる」という辰吉イズムは、その息子にも脈々と受け継がれていた。