【広島好き】5年目で初の一軍完走の石原貴規が胸に刻む反省と後悔は捕手としての成長の糧
よみがえるのは、苦い記憶ばかりだった。5年目の今季、広島の石原貴規は自身初めてシーズン一軍フル帯同を果たし、オフを迎えている。
「要所で勝てなかったのが投手に申し訳ない。自分が思ったサインでやられることが多かった。キャリアの中でも初めて8月、9月に優勝争いをした。今までも「1球が重い」と思っていたんですけど、プレッシャーのかかり方、1試合、1球の重さをすごく感じた」
昨季一軍出場ゼロから、今季は56試合に出場。30試合のスタメンを含め49試合でマスクを被った。キャリア最多の139打席に立ち、盗塁阻止率も自己最高の.476を記録した。一番手捕手の坂倉将吾、会沢翼とともに優勝争いしたシーズン終盤までマスクを分け合ってきた。いいことよりも、悪いことばかりが頭に浮かぶ。
「やっぱり引きずってしまう。あの1球だったと。なんであの勢いで行ってしまったのか。一歩引いて見られたんじゃないかと...」
グラウンドに立ったからこそ感じたものがある。思い返される試合は、9月11日の巨人戦。2点リードの9回に9失点して逆転負けを喫した。敗戦投手となった栗林を含め、あのイニングだけで3投手の計45球すべてを受け続けた。
試合後いつも球場を後にするのが遅いが、この日はさらにより遅かった。「すぐに切り替えて、また明日とはならない。ピッチャーの人生も背負っているので」。チーム結果とともに「勝ち」「負け」と個人記録として残るのは投手。だが、捕手も個人記録には残らないものの、喜びとともに苦しみも投手と共有している。
シーズンが終わっても、答えの出ない自問自答は続く。大逆転負けした試合だけなく、8月25日阪神戦で森下に浴びた逆転3ランや6月2日ソフトバンク戦で近藤に浴びたサヨナラ弾など、1球の後悔も強く残る。
16日からマツダスタジアムで秋季練習が始まり、来季へ向けたスタートを切った。捕手として、打者として体力、技術を磨く日々。加えてシーズン中の映像を見返しながら、打者の傾向や特長、配球面を確認する作業も繰り返す。はっきりとした答えにたどり着くことができなくても、画面とのにらめっこはオフの間も続く。