レインボープライドで物議の“緊縛ショー” 出展者を直撃「HIVと梅毒の検査が一番の目的」
性的マイノリティーへの偏見と差別のない社会の実現を目指すアジア最大級のイベント「東京レインボープライド2024」。 【映像】緊縛ショーの様子 出展者に聞く真意「人垣を作ったが…」 パレードには約1万5000人が参加し、誰もが生きやすい社会の実現を訴えたが一部のブースで行われたショーがSNSで物議を醸した。 露出の多い服装で、縄に縛られ吊るされる男性。ショーの様子を撮影した画像は瞬く間に拡散され、SNSでは「緊縛ショーはアートの1つだとも思うけど、なぜこの場所で?」「子どもも居る場所で見せるのは性的虐待」「多様性を盾にしたらなんでもあり?」など批判の声が相次いだ。 緊縛ショーの目的は何だったのか? ブースを出展していたパートナー共済代表理事 小吹文紀氏に聞いた。
小吹氏はショー開催の理由について「今回、一部のショーだけが取り上げられたが一番の目的は後ろのプレハブで行われていたワンコインで受けられるHIVと梅毒の迅速検査であり、そのために保健所とも入念な準備を進めてきた。『HIVの検査をやりますよ』と前面に出すとどうしても誤解を生むため、カモフラージュではないが、ブースを展開してショーもやらせていただいた。性感染症が増加傾向にある中、気軽に検査を受けてほしいと考えたことが発端にある。ちなみに、ショーは全体で13のクラブイベントがあり、物議を醸したのはそのうちの1つだ」と説明した。 「緊縛ショーである必要があったのか?」という疑問については「まず、目にしたことで不快に感じられた方がいることは非常に残念であり、私たちもさらに配慮が必要だったと反省すべき点が多いにあった。ただ、HIVも梅毒も性感染症であり、どうしても予防啓発・早期発見のために性の部分は避けて通れない。徐々にプレップ(曝露前予防内服)や検査会が広まってきてはいるが、どうしても検査に不安を覚える人がいる。そのため、少し楽しい雰囲気の中で受けてもらえるような環境を作れないかと、こうしたイベントを年間60回ほど開催し、1000名弱の方々に対してリーチしてきた」 と答えた。 一方で「子どもに見せたくない」という意見もある。 これに対し小吹氏は「性の部分に関しては、全体的な性教育などに議論は波及していくと思うが、実際にはLGBTQ +に関係なく誰にでも感染の可能性はある。そう考えた上でまずは大人の中で検査をしている。とはいえ、実は今回は強風で1日目が中止になったためにブースの奥などの施工ができず、やむを得ずショーが前に出てしまった。当日のショーにおいては人垣を作って子どもの目に触れないよう配慮もしたが写真を撮られた方が投稿し、こういう状況になってしまった」と経緯を明かした。 ゾーニング(空間を分けること)については「『ゾーニングや18禁にすれば』という意見ももらうが、そうすると『音楽や食事と共に多くの人と楽しく』という観点からは難しく、アンダーグラウンドに潜ってしまう。バランスを取りながらやる必要がある」と見解を述べた。