現在進行形の「正しい敬語」入門。悩まないシンプルな言い回しの方が、実は好印象だったり
「拝見させていただきます」は二重敬語で誤り
また最近、「拝見させていただきます」「このたび、本を出版させていただきました」というような言い回しを、よく耳にします。 宮本さんも、この言い回しについて言及しています。 まず、「拝見させていただきます」は、二重敬語となり文法的にも間違いと指摘します。 これは「拝見します」でいいのです。 一方、「このたび、本を出版させていただきました」は文法的には間違いではありません。 文化庁によると、「~させていただきます」は、「相手もしくは第三者の許可を受けて行なう」「自分が恩恵を受ける」の両条件を満たすなら適切なのだそうです。 出版は、編集者の「許可」があってなされるものだから、厳密には間違っていないでしょう。 ただ、こういった表現を連発されると何か違和感があります。普通に「出版しました」だと、話し手の気持ちとしては物足りないのかもしれませんが…。 宮本さんは、次のような見解を述べています。 「とにかくなんでもいいからへりくだっておこう」という、相手に対しての敬意よりも自分の保身のために使われる傾向が多く、そのニュアンスが鼻につくこと。 そしてもうひとつは、「させていただく」のサ行が摩擦音によって発音されているため、音として過剰に耳につくという、物理的な側面です。(本書177~178pより) やはり、この点についてもシンプルなほうがよさそうです。 言葉は「生き物」とよく言われるように、敬語も時代の流れとともに変わっていくものです。 なので、これが未来永劫、絶対正しいというものはないのですが、ここしばらくの傾向としては「シンプルでいこう」というのが暗黙の了解となっている気がします。 敬語を使う場面で迷ったら、この方針でいいのではないでしょうか。 ──2023年4月12日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 執筆: 鈴木拓也/Source: Amazon
ライフハッカー・ジャパン編集部