在日中国人が集うSNSで“格安販売”されている「チケット」とは 日本で金儲けする「闇のカラクリ」
推しグッズに限定品、発売前から人気の新商品――需要が供給を上回ると見れば、品目を問わず大量に買い占めては高額で売り飛ばす。それが「転売ヤー」だ。現代社会の新たな病理となりつつある彼らは、いったいどれぐらいの利益を得ているのか……。 【写真を見る】在日中国人が集うSNSで格安販売されている「チケット」
転売品の中には、違法行為によって入手されたものも混じっている。奥窪優木氏が転売ヤーたちに密着した『転売ヤー 闇の経済学』では、その手口がリアルに描かれている。(引用はすべて同書より)【前後編の前編/後編を読む】 ***
クレジットカード不正利用が資金源に
世に出回る転売品は基本的に、定価より高値で取引される。定価に利鞘を載せて転売しなければビジネスとして意味がない。行列に並んだり抽選に応募したりしてくれる協力者への報酬も支払わなければならないのだから当たり前だ。 しかし、中には例外も存在する。 「新幹線 打折票」 在日中国人が集うWeChat(ウィーチャット)上のコミュニティには、そんな文言が多数投稿されている。打折票とは割引チケットという意味。つまり新幹線の乗車券の格安販売をうたっているのだ。
その割引率は、大黒屋などの金券ショップには到底真似のできないレベルである。ある投稿者は、東京─新大阪の新幹線のチケットを8000円で売り出していた。同区間の自由席特急券と乗車券の価格の合計は1万3870円であることを考えると、4割以上も安い計算となる。また、別の投稿者による「どの区間も40~60%で販売」という書き込みもあった。 こうした新幹線チケットの破格販売は、筆者が知る限り、中国のSNS上で5年以上前から行われていた。 これだけ安ければ、中国人でなくても利用したくなる人も多いだろう。しかし、なぜ彼らは、これほど安価に新幹線乗車券を提供できるのだろうか。そのカラクリについては、長らくある憶測が飛び交っていた。「他人のクレジットカードを不正利用することによって購入された乗車券ではないか」というものだ。