試合前ロッカーに流れたちびまる子ちゃんのテーマ曲。清水が追悼逆転勝利!
キックオフを直前に控えた敵地・日産スタジアムのロッカールームに、聞き覚えのあるミリオンセラーソングが大音量で流されていた。 <なんでもかんでもみんな おどりをおどっているよ――> B.B.クィーンズが1990年に大ヒットさせ、日本レコード大賞にも輝いた『おどるポンポコリン』をスマートフォンにダウンロード。持参したスピーカーにつなぎ、29日の横浜F・マリノス戦前の室内に響かせていたのは清水エスパルスのFW北川航也(22)だった。 生まれる前に流行った名曲を、北川がわざわざ用意してきたのには理由がある。国民的な人気アニメ『ちびまる子ちゃん』の原作者、漫画家のさくらももこさんが乳がんのため、53歳の若さでこの世を去っていたことが公表されたのは今月27日の夜だった。 静岡県清水市(現静岡市清水区)出身のさくらさんは、生まれ故郷をホームタウンとするエスパルスをこよなく愛していたことでも知られる。そして、さくらさんが自ら作詞を手がけ、フジテレビ系で毎週日曜日午後6時から放送されたアニメの主題歌が『おどるポンポコリン』だった。 さくらさんとは直接面識はない。それでも、子どものころは毎週日曜日を楽しみにしていた選手も多いし、口ずさみやすいメロディーに自然と心を躍らせていた。今月15日に他界していたさくらさんの訃報の公表後、初めて迎える公式戦。何らかのアクションを起こしたかったのだろう。 「試合前に(北川)航也がめちゃ流していたので、やっぱりみんな感じたものはあるんじゃないでしょうか。僕自身も子どものころはよく見ていたので」 23歳のFW金子翔太が、キックオフを前にして自然とモチベーションが高まったと明かす。本来ならば7月28日に行われるはずだったマリノスとの明治安田生命J1リーグ第18節だが、東日本を直撃した台風12号の影響を受けて中止となっていた。 J1では名古屋グランパス対北海道コンサドーレ札幌、湘南ベルマーレ対川崎フロンターレも中止となったが、29日が代替開催日と決まったのは、この一戦だけ。そして、2日前になってエスパルスと深い縁のあるさくらさんの訃報が届いた。