緑茶飲料、NB復権へ主要ブランドが大刷新 嗜好飲料への転換や大容量化で
緑茶飲料市場は、高まる節約志向を背景にプライベートブランド(PB)が勢いづく中、大手飲料メーカーはナショナルブランド(NB)の地位挽回に向けて立ち上がった。 緑茶飲料は昨年、販売金額は過去最高を記録したと推定。これには各社の価格改定や大型ペットボトル(PET)の価格攻勢を抑制し売上構成比を大型PETから中型PETへシフトする容器ミックスの改善によるところが大きく、販売数量は節約志向の高まりによりPBが支持を集めNBが苦戦。NB緑茶飲料の水カテゴリーへの顧客流出も進んでいる。 NB復権へ先陣を切ったのが「伊右衛門」(サントリー食品インターナショナル) サントリーは昨年の不振要因を22年10月の価格改定で進んだ緑茶飲料市場の同質化にあると分析。 気温上昇に伴い水分補給ニーズが強まり、よりすっきりとゴクゴク飲める中味が求められる方向で同質化が進んでいるとの見立ての下、止渇飲料から嗜好飲料の転換を図るべく「伊右衛門」本体(緑茶)を本体史上最高レベルの濃さに進化させて3月12日にリニューアル発売した。 600mlのリニューアル品は前身商品と比べて、茶葉量を1.5倍、旨み抹茶を3倍使用している。 その真逆とも受け止められる動きをみせたのが7年ぶりに大刷新して4月15日から「綾鷹」(コカ・コーラシステム)。 4月15日から発売している「綾鷹」本体(緑茶)は「濃く旨味があるのにも関わらず後味は軽やかでスッキリする」と日本コカ・コーラの助川公太マーケティング本部緑茶事業部部長は説明する。 日本コカ・コーラでは、この味わいを緑茶飲料市場の“ど真ん中”のポジションと位置付ける。緑茶飲料市場がスタンダードな味わいと濃い味わいに大別される中、前身商品はどっちつかずの状態にあったという。 助川部長は「濃い系のセグメントを好まれる層からは少し物足りず、スタンダードの味わいを好まれる層からは少し味が強すぎて普段飲むのには重すぎるという状況になっていた」と指摘する。 「綾鷹」では、緑茶飲料のパーソナルサイズの飲用量が増加傾向にあることにも対応。「綾鷹」本体・「綾鷹 茶葉のあまみ」「綾鷹 ほうじ茶」の3品では、新たに導入した650mlPETをメイン容器に定め、手売りチャネルで販売している。 「イエナカ・イエソト問わず(1日に)600ml以上飲まれていることが分かり、購入量も過去10年で大きく増えていることも分かった。無糖茶を買うときに同じ価格なら量の多い方を選ぶことも見えてきた」との見方を示す。 「生茶」(キリンビバレッジ)もスッキリする味わいを追求。新製法「凍結あまみ製法」を採用して茶葉のあまみを強化し、4月9日にリニューアル発売した。 新製法について、キリンビバレッジの成清敬之執行役員マーケティング部長は「苦くなく、しっかりお茶を感じられてスッキリ飲めるものを目指して採用した。新製法で、お茶の甘みをミドルからラストで(口に含んで飲み込むまでの後半にかけて)感じられるようにした」と説明する。 新製法の採用に加えて、微粉砕茶葉を現行品から約3倍に増やして「新茶のような甘みが感じられる緑茶としておいしさを進化させた」。 緑茶飲料トップブランドの「お~いお茶」(伊藤園)は、引き続き透き通った黄金色の液色を追求。今回、期間限定で新茶を加えて旨味・あまみ・香り立ちが一層感じられる味わいに刷新して5月20日にリニューアル発売する。 昨年に誕生した「颯」(アサヒ飲料)は、微発酵茶葉を一部使用した香り高い味わいがより伝わるパッケージを刷新して4月2日に発売開始した。