「プーチン大統領、トランプ氏と休戦交渉の意向ある」
ウクライナのNATO加盟放棄が条件
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はドナルド・トランプ次期米大統領とウクライナとの休戦交渉をめぐり話し合う意向だと、ロイター通信が20日(現地時間)付で報道した。ところが、ここにはロシアが占領した主要な領土は譲らず、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟放棄という条件が付けられた。 ロイター通信は同日、ロシア大統領府の意向に詳しい5人のロシア前・現職の高官らの話として、このように報道した。匿名を求めた彼らは、プーチン大統領が最前線で紛争を凍結することに幅広い同意をしうると同通信に語った。そのうち3人は、ロシアが占領したと主張するウクライナ東部のドネツクとルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4地域の領土を正確にどのように分割するかについても、交渉の余地があると伝えた。また、2人のロシア高官は、ウクライナの北側と南側のハルキウとミコライウなど、比較的面積の小さい領土からは撤退もあり得ると話した。 米国のジョー・バイデン大統領は18日、米国の長距離ミサイル「ATACMS」をウクライナがロシア領土内に発射できるよう射程制限を解除した。これを受けて、2人の消息筋はロイターに、バイデン大統領の決定がすべての合意を複雑にし、遅延させる恐れがあり、ロシアのより強硬な要求に繋がりかねないと懸念を示した。トランプ次期米大統領はバイデン大統領の決定に明確な立場を示していない。しかし息子のトランプ・ジュニア氏は、父親が就任する前に「(バイデン大統領が)第三次世界大戦を起そうとしているようだ」と非難した。ウクライナが19日に6発のATACMSをロシア本土に発射した後、ロシアは「戦争の局面が質的に変わった」とし、米国の介入に強く反発した。 バイデン大統領は2カ月後に迫ったトランプ次期大統領の就任を控え、長距離ミサイルだけでなく、朝鮮半島以外で初めて対人地雷の提供も承認するなど、終盤の支援に全力を傾けている。トランプ前大統領の当選でウクライナとロシアの平和会談議論が蘇る中で行われた決定だ。ブルームバーグは、トランプ次期大統領が戦争の早期終結を掲げたことで、今後対話が進められる前に、ウクライナに力を付けさせなければならないという焦りが生じたと指摘した。ブルームバーグの報道によると、ウクライナは20日(現地時間)、米国に続き英国とフランスが共同開発した長距離ミサイル「ストームシャドー」もロシア本土に向けて発射した。 一方この日、クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官も会見で、「プーチン大統領はこれまで接触と交渉の用意があると繰り返し表明してきた」と述べたと、タス通信が報道した。しかし同通信は、ウクライナ政権が1991年当時の国境を取り戻すという非現実的な目標を設定したことで、このような対話が進まなかったとも報じた。ウクライナは戦争初期から1991年にウクライナが旧ソ連から独立した当時から認められた領土をすべて回復することが目標だと強調してきた。2014年にロシアが強制併合したクリミア半島をはじめ、今回の戦争で得た占領地まで取り戻さなければならないという意味だ。 一方、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、米フォックスニュースとのインタビューで「プーチン大統領は、われわれが現在持っている兵器では1991年の国境を回復するほどの力がないということを知っている」と述べた。ただし、ロシアに一部の領土を譲る意向があるかという質問には、「ロシアが統制中のウクライナ領土は法的に認められない」とし、クリミア半島については軍事ではなく「外交的方法」を通じて取り戻す準備ができたと答えた。 ベルリン/チャン・イェジ特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )