「子どもへの医療」こそ、世の中で“最高の投資”だ「カンボジアの医療」に日本人が学べる“お金のリテラシー”とは?
アジアの最貧国の一つであるカンボジアでは、寄付金を原資に小児がんの治療を行っている国際医療NGO「ジャパンハート」が医療拠点を構える。 2024年より新NISAが始まり日本では新しい「お金の社会参加」が盛り上がりを見せているが、寄付や投資を通じてお金を人に託すという本質とは何なのか――。 国内外の投資会社でファンドマネージャーや投資啓発などの要職を20年経験後、投資の研究と教育を行うWealthPark研究所を設立した加藤航介氏。 【写真で見る】カンボジアの医療、そのリアルな現場の写真
英米で10年を過ごし、世界30カ国以上での経済・投資調査の経験を持つ「投資のエバンジェリスト」加藤氏が、国際的な寄付やボランティアよりお金のリテラシーを考察する。 ■カンボジアで年100人の小児がん患者の命を救う活動 日本から飛行機を乗り継いで10時間。カンボジアの首都プノンペンから、車で約1時間北上した先に、ウドンという街がある。 ここには国際医療NGO「ジャパンハート」の医療センターがあり、小児がんの治療を中心に活動をしている。
日本では8割が治ると言われる小児がんだが、社会インフラや医療サービスが乏しいカンボジアでは2割しか治癒しない。 ジャパンハートの活動は、年間10億円程度の寄付金、日本からの定期・不定期で訪れる医師などのボランティアスタッフ、そして現地メンバーを中心とした有給スタッフで運営されている。 医療資源が限られるなか、高額な設備投資が求められず、治療薬も入手可能である小児がんを中心とした治療体制を敷くことで、現在では年間を通じて常時30名が入院、年間では100名の小児がんの治療が行えている。
小児がんに対する国際連合や世界保健機構の姿勢も後押しし、「小児がんは治る病」という認知もカンボジア現地で広がりつつある。 筆者の加藤氏と編集者で訪れた「ジャパンハートこども医療センター」(カンボジア)の玄関にて。インタビューは現地で行われた。左が神白(こうじろ)院長。 同拠点はカンボジアにおける小児がん治療のパイオニアかつリーダー的存在であるも、施設を回れば、その医療環境が日本と比較して驚くほど粗末であることがすぐわかる。