アップル、ChatGPT提携で金銭払わず-iPhone搭載自体が「価値」か
(ブルームバーグ): 米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)と幹部らは今週、「iPhone」や「iPad」、「Mac」にオープンAIのチャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」を搭載する画期的な提携を発表したが、金銭的な条件については沈黙した。
両社にとって金銭的メリットが持続する可能性のある緊密な提携の一環として、どちらの会社がもう一方に支払うのか。この疑問は答えは10日に示されなかった。だが、事情に詳しい複数の関係者によると、今回の提携は少なくとも当初は、両社に有意な収入をもたらすとは予想されていない。
今回の提携により、アップルの音声アシスタント「Siri」や新たな「ライティングツール」にChatGPTが組み込まれる。非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、アップルは提携の一環としてオープンAIに支払いを行わず、オープンAIのブランドと技術を何億台もの自社製品への搭載で後押しすることが、金銭的支払いと同等かそれ以上の価値があるとアップルは考えているという。
アップルには、オープンAIのおかげで消費者に高度なチャットボットを提供できるメリットがある。ユーザーがより多くの時間をデバイスの利用に費やしたり、お金を惜しまずアップグレードしたりする効果も期待できる。
アップルとオープンAIの担当者はコメントを控えた。
オープンAIとの提携は、アップルにとって人工知能(AI)への幅広い取り組みの一環。今年の世界開発者会議(WWDC)の基調講演では、iPhoneとiPad、Mac向けのAI機能を披露しており、ChatGPT以外では、「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」と名付けた社内で設計した機能も発表した。
だが、アップルとオープンAIの提携で金銭が大きな要素でなかったとしても、後に報酬が関わってくる可能性はある。
今回の提携は現在の仕組みでは、オープンAIにとって犠牲が大きくなるかもしれない。オープンAIはマイクロソフトのクラウドコンピューティングシステム「Azure」でChatGPTを利用できるようにするために同社への支払いが必要。ChatGPTの利用者が増えれば増えるほど、オープンAIの出費は増える。また、アップル製品への搭載はユーザーの任意で最新の製品に限定されるものの、コンピューティング予算が大きく増加する恐れがある。