ブロッコリーからのオファーは「ジェームス・ボンドの顔がよく見えるように」|オープン仕様で急造されたボンドカー
トヨタとヤマハ発動機が共同開発した屈指のスポーツカー「トヨタ2000GT」が日本グランプリに向けてマシン制作に取りかかっていた最中、アメリカのアクション映画『007』シリーズの映画出演オファーが舞い込んだ。 【画像14枚】無理難題の要求に応えてついに完成させたボンドカー。日本楽器(ヤマハ)のピアノ作りに技術を生かした高級なローズウッドのインパネが見事。ステアリングもウッドリムだ。撮影車にはソニー産の通信機器を装備 【オープン仕様で急造されたボンドカー 1966年式 トヨタ 2000GT】 日本グランプリを前に契約を結んだが、撮影までに解決しなければならない難問が山積している。トヨタ2000GTは発売前のプロトタイプだったので、提供できるクルマがなかった。また、ブロッコリーから、「ジェームス・ボンドの顔がよく見えるように、フルオープンに改造してほしい」との要望が出された。剛性不足が心配だったため、トヨタ側はルーフ部分だけを外せるタルガルーフを提案したが、ブロッコリーは納得しなかったため、最終的にフルオープンの案を飲んでいる。 オープン化への改造を手がけたのは、レース車両や特殊車両を造り慣れているトヨペット・サービスセンターの綱島工場だ。量産モデルに限りなく近い1台の試作車が提供され、1台は日本での撮影用にオープンに改造。もう1台は、海外でのロケやショーへの出品用に同様の改造を施している。時間がないため、精密な図面をあきらめ、ほとんど現物合わせで製作された。 1966年式 トヨタ 2000GT(MF10) 全長×全幅×全高 4175×1600×1160mm(1140mm) ホイールベース 2330mm トレッド前後とも 1300mm 最低地上高 155mm 室内長 720mm 室内幅 1430mm 室内高 950mm 車両重量 1120kg 乗車定員 2名 最高速度 225km/h 登坂能力 sinθ0.567 最小回転半径 5.0m エンジン型式 3M型 エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC 総排気量 1988cc ボア×ストローク 75.0×75.0mm 圧縮比 8.4:1 最高出力 150ps/6600rpm 最大トルク 18.0kg-m/5000rpm 燃料供給装置 ソレックスキャブレター40PHH(ウエーバー45DEOC9)×3基 トランスミッション形式 前進5段後退1段、オールシンクロ 変速比 1速3.143/2速1.636/3速1.179/4速1.000/5速0.844/後退3.238 最終減速比 4.375 燃料タンク容量 60L ステアリング形式 ラックアンドピニオン サスペンション 前後ともダブルウィッシュボーン・コイル独立懸架 ブレーキ 前後ともディスク ホイール 前後ともマグネシウム(ワイヤーホイール) タイヤ 前後とも165HR-15 発売当時価格 238万円 ()内はボンドカーの仕様 初出:ノスタルジックヒーロー 2019年10月号 Vol.195 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部