世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.120「メンタルを言い訳にしない大谷翔平選手に超一流の姿を見た」
運がないと思った時点でそれが自身の限界だった?
1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第120回は、チャンピオンになれるライダーとなれないライダーを分ける運不運とシーズン戦略について。 「“マルケスが寄った”と言い放つアコスタがモヤモヤを晴らした」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.12】
初優勝の翌日にマシントラブルで転倒したビニャーレス
MotoGP第2戦ポルトガルGPは、土曜日のスプリントレースでマーベリック・ビニャーレス(アプリリア)が優勝しました。’21年、シーズン途中でヤマハからアプリリアに移籍したビニャーレス。アプリリアでの初優勝には、3年弱ほどかかったことになります。 「意外と時間がかかったな」というのが僕の印象です。もともと速さを備えたライダーなので、移籍後はポンと優勝するのではないかと思っていたんです。表彰台は何度も獲得しましたが、なかなか頂点には立つことができませんでしたよね。チームメイトのアレイシ・エスパルガロの方がずっと目立っていました。 しかし昨シーズンの中盤~終盤にかけてようやく調子を上げ、それが今回のスプリントレース優勝につながりました。「これでついに波に乗れるかな」と思っていた矢先、日曜日の決勝レースは2位走行中にミッショントラブルが原因で転倒、リタイヤ……。どうにも運がないライダーのひとりです。 ビニャーレスは、これまでもたびたびもったいないタイミングでトラブルなどに見舞われてきました。チャンピオンを獲ってもおかしくない速さを持ったライダーなのに、どうにも成績にムラがある。もちろん彼自身のミスもありますが、今回のようなマシントラブルも目立ちます。 ──トラブルは転倒する数周前から出ていたというビニャーレス。調子は悪くなかっただけに……。