J1札幌 三上大勝GMが明かすペトロヴィッチ監督今季続投決断の裏側「J1残留という最終目標達成の力になる」
J1北海道コンサドーレ札幌の三上大勝代表取締役GM(52)が、異例の表明に至った理由を明かした。29日、クラブの公式HPで「北海道コンサドーレ札幌にかかわる全ての皆さまへ」と題し、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)体制で今季を戦い抜くことと、今年を「集大成」と7年目の指揮となるペトロヴィッチ監督のラスト年とすることなどを公表した。J2降格圏の19位に低迷する状況の中、続投を決断し、発表した経緯を本紙に語った。 *** 決断を後押ししたのは、選手の声だった。開幕から16戦2勝、19位に沈む状況も、三上GMはペトロヴィッチ監督の続投を決めた。 三上GM「(監督交代を含め)色んな方法は考えていた。ただブレてはいけないのは、J1残留を達成する上で最善の策は何なのかと。これまでは株主、自治体、パートナー企業、そしてサポーターの皆さんの声を聞いたなかで、方向性を出していた。ただ今は、戦っている選手の思い、気持ち、考えが何より重要なんじゃないかと。多くの選手と話し合ったなかで強く感じたのは、このサッカー、戦術なら絶対に勝てると信じていること。これは間違いないものと感じた」 状況が悪い時、責任をチーム以外に転嫁する例は多い。しかし札幌にはなかった。 三上GM「こういう時、選手はその矢印を監督などに向けることはある。でも今回は皆がそこでなく、自分や一緒にやっている仲間に向けていた。であれば、このタイミングでミシャと今シーズン、何があっても最後までやるという方向性を伝えるのが最善と考え、選手には28日に話した」 ペトロヴィッチ監督のスタイルを信じる選手の思いに加え、指揮官自身の闘志も後押しとなった。 三上GM「ミシャは今季までと理解した上で、必要とされる限りはパワーを落とさずにやっていくという話をしてくれた。選手は本当にミシャの戦術に対して自信を持っている。そこを重要視すべきと考えたら、ミシャがそのまま引き続き指揮を執ることが当然、最もぶれがない。監督交代が最善の打ち手になるクラブもあるが、我々はそれが最善ではないと判断した」 信じて下さい 決断に対して様々な声があるのは分かっている。ただ1つ、願うことがある。 三上GM「今回の決断に反対意見もあるだろうが、一番大切なのは方向性を出すこと。クラブが決断したのなら後押ししますという方々もいると信じている。それが必ず、J1残留という最終目標を達成する力になると思ってます」 *** ミシャとともに歩んできた男が、残り22戦、気持ちを押し出して戦い抜く。J1札幌MF駒井善成(31)は、ペトロヴィッチ監督が浦和で指揮を執っていた16年から指導を受け、札幌の指揮官となった18年、ともに移籍してきた。 「選手として成長させてもらって、自分のサッカー人生を大きく変えてくれた監督」。感謝が尽きない恩師は、今季限りで退任する。「ミシャのサッカーが悪いとかじゃなく、体現できていない自分たちが悪い。正直もっと質の高い選手がやれば、ぽんぽん点が入るサッカー。一人一人の責任」。自戒を込めて現状を受け入れた上で、次節6月2日のアウェー・東京V戦から19位という苦境脱出に挑む。 「ミシャのためにというか、まずは札幌をJ2に落とさないことが大前提。(25日の)鹿島戦は気持ちも見せられない試合をした。もっと気持ちが見える試合をすれば、勝ちは増えていく。ピッチで熱を表現できるかにこだわっていきたい」。熱く戦い、負の流れは食い止める。 (砂田 秀人)
報知新聞社