「自衛隊日報問題」を題材にした映画『火の華』主題歌は大貫妙子&坂本龍一“Flower”
映画『火の華』が12月13日に新潟で先行公開、12月20日にテアトル新宿、ユーロスペースほか全国で公開。本ビジュアル、本予告編、主題歌情報、場面写真が公開された。 【動画】『火の華』本予告編 2016年に報道された「自衛隊日報問題」を題材にした同作は、元自衛官の壮絶な経験とその後の宿命を描いたオリジナルストーリー。PTSDの深刻さを見据えながら「戦う」ということや「平和」の在り方、人間の本質について問いかける。製作・配給はアニモプロデュース。 監督は長編デビュー作『JOINT』で『新藤兼人賞』銀賞に輝いた小島央大。長編2作目となる『火の華』では企画、脚本、編集、音楽も手がけている。のちに花火師となる主人公の島田役を『JOINT』でも主演を務めた山本一賢が演じ、キム・チャンバが『JOINT』に続いてプロデューサー、出演者として参加。共演者には柳ゆり菜、松角洋平、ダンカン、伊武雅刀らが名を連ねる。 『火の華』は日本伝統の「花火」をモチーフにしており、登場する打ち上げ花火は、長岡花火ほか世界で活動する花火師の監修のもとすべて実写で撮影。また、元自衛官やジャーナリストに取材を敢行し、リサーチのもと自衛隊や武器を再現しているという。 主題歌は大貫妙子&坂本龍一による“Flower”。同曲を使用した本予告編には、南スーダンで凄惨な戦闘に巻き込まれた島田が自衛官を辞職した今もなお悪夢に苛まれ、花火に救いを求めていく姿が描かれており、少年兵と島田が銃を向け合う場面や、上官から隠蔽を強要される場面、花火大会の現場で銃撃戦がフラッシュバックしPTSDを発症するシーン、花火の材料である「火薬」を使った武器ビジネスに介入していく様子、「我が国にとって審判の日となるであろう」という男のセリフ、銃を手に取る島田の姿が確認できる。 本ビジュアルは「この魂に救いは在るか?」というキャッチコピーとともに、大きく広がる花火を背景に島田の姿をレイアウトしたもの。 【大貫妙子のコメント】 私がそこを動けないとしても。私から解き放たれた私の種子は、自由に飛んで行ける。 どこまでも! そのために私が今、することは「風を選ぶ」ということだろう。 【布施祐仁のコメント】 これは単なる「フィクション」ではない。南スーダンでは実際に自衛隊の活動地域で内戦が勃発した。自衛隊の海外での活動は法律では「非戦闘地域」に限定されているが、日本政府は「戦闘ではなく衝突」と強弁し、現地部隊が「戦闘」と記した日報は隠蔽された。国家の命を受け、時には命を懸けて任務に当たるのが自衛官だ。本作品を通じて、その重みを多くの人が我が事として受け止め、この国のあり様を深く考える契機となることを願ってやまない。 【多田祥太郎(テアトル新宿)のコメント】 『火の華』を来たる12月に上映する事が出来、大変喜ばしく感じております。 というのもテアトル新宿では一昨年、昨年と12月公開作品として『ケイコ 目を澄ませて』『市子』を上映して参りました。 2作品とも非常に話題に上った映画ではありますが、両作ともこの世界の未知の部分の広大さと、しかしそれは自分のすぐそばにも間違いなく存在しているんだという実感を映画を通して与えてくれました。 世界の広がりと同時に様々な人生を近くに感じる事が出来る、それはまさしく映画を観る醍醐味の一つだと思いますし、そうした映画を上映する映画館でありたいと思っております。 『火の華』は、光の届かない世界の深さとそこに間違いなく存在している人生とが重たい実感を持ってこちらに迫ってきます。 そのリアルな手触りは『ケイコ 目を澄ませて』『市子』と同様、映画の醍醐味に溢れています。 【小島央大監督のコメント】 「Flower」は本作の原案段階から、幾度も繰り返し聴いた楽曲です。 脚本や撮影期間で何かと行き詰まった時も、何か光を示してくれるような特別な曲でした。 楽曲の壮大でかつ親密な世界観に、花火の刹那が重なり合う「光と闇のモザイク」。 この曲で映画を締めくくることができて光栄です。
CINRA編集部