８日、パレスチナ自治区ガザ中部で救出され、テルアビブ近郊の病院に到着したイスラエル人男性（中央）（ＥＰＡ時事）

　【カイロ時事】イスラエル軍は8日、パレスチナ自治区ガザ中部ヌセイラトで人質4人を救出したと発表した。 【写真】パレスチナ自治区ガザ中部ヌセイラトで、イスラエル軍による攻撃を受けた国連運営の学校の様子をうかがう市民 　救出されたのは21～40歳の男性3人と女性1人で、いずれもイスラム組織ハマスが実行した昨年10月7日のイスラエル奇襲の際に、野外音楽祭で拉致された。健康上の問題はないという。ネタニヤフ首相は声明で「（イスラエルは）テロに屈しないことが証明された」と強調した。 　軍報道官は8日、同日午前11時（日本時間同日午後5時）にヌセイラトで「高い危険性を伴う複雑な作戦」を行ったと説明。2カ所の建物から人質を助け出した。作戦中には銃撃戦が発生。特殊部隊メンバー1人が死亡した。 　ハマスは声明を発表し「依然多くの人を拘束しており、さらに人質を取る能力がある」とけん制した。ガザ当局は、イスラエル軍がヌセイラトの難民キャンプを攻撃し、少なくとも210人が死亡したと主張。救出作戦に関連する死者も含まれるとみられる。 　イスラエル政府によると、ハマスは奇襲攻撃の際、人質約250人をガザに連れ去った。現在も約120人が拘束されたままで、このうち約40人は既に死亡したとされる。 　一方、イスラエル軍は7日、ガザ北部にある国連運営の学校を空爆した。ハマス戦闘員が使っていた敷地内のコンテナを標的にしたという。軍は6日にも中部の学校を空爆。女性や子供を含む約40人が死亡したとされ、民間人に犠牲が出る恐れのある攻撃を繰り返している。 　米CNNテレビは、イスラエル軍が6日の学校攻撃で米国製の爆弾を使用したもようだと伝えた。民間人犠牲者の拡大に歯止めがかからない中、イスラエルを支持し続ける米国に対する批判も高まりそうだ。 　ガザで続く戦闘を巡り、国連はイスラエルを「子供の権利を著しく侵害した国」に初めて指定した。同国のエルダン国連大使が7日、X（旧ツイッター）で明らかにした。ネタニヤフ氏は「イスラエル軍は世界で最も道徳的な軍隊だ」と強調し、「妄想じみた決定だ」と反発した。