ホリエモン豪語「月2万円で家事代行」は可能か?
安倍政権が「女性が輝く社会づくり」を推進する一方で、共働き夫婦における家事の分担をめぐる問題が話題になっています。
■賛否両論の声
きっかけは、旭化成ホームズの「共働き家族研究所」が昨年7月に発表した30代共働き夫婦の家事分担の実態についての調査報告書です。 2010年代以降、夫の家事参加が大幅に進んだものの、家事を完璧にこなせる夫は3割にすぎず、意欲はあっても上手にできない「ちょいカジパパ」が増えている。さらに、夫は調理や洗濯への関与が少なく自信もなく、妻からのダメ出しに弱い、とする内容は、家事の分担をめぐってネット上で議論に発展。先日には、人気ブロガーが「共働き夫婦の家事の分担の問題がたびたび議論になるが、そんなもん月に2万円も払えば業者が全部やってくれるのに、なんで押し付けあっているのか理解に苦しむ」とツイートし、これにホリエモンこと堀江貴文氏が「馬鹿だからでしょ」と応じたことで大きな話題になりました。 そして、この意見に対して「『家事を外注すれば月2万で済む』的な声を聞きましたが、国内では月10~20万円ぐらいかかるのでは」「方向性としては同意見だけど、月2万ではやってくれないだろう」「『家事をアウトソーシングすること』は可能であるのならば考えてみていいことだし、いまより業者任せが自然になることのほうがラクでいいじゃんとは思いますよ」「さすがセレブが言うことが違うわ。 庶民にとっては月2万の出費って大きいよ」等々、賛否両論のさまざまな声が上がっています。
■家事の範囲は?
そもそも、家事を「月2万円」でアウトソーシングすることは本当に可能なのでしょうか。それを考えるのには、まず「家事」の範囲を定義する必要があります。 家事活動の時間などを調査している総務省の「社会生活基本調査」は、家事を「炊事」「掃除」「洗濯」「縫物・編物」、銀行や公的サービスの利用や、整理・片付けなどの「家庭雑事」とし、その上で、共働き夫婦が1日に家事に費やす時間を平均3.27時間(2011年)としています。 一方で、NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」は、家事を「炊事・掃除・洗濯」「食料品・衣料品・生活用品などの買い物」「子どもの世話」、介護を含む「家庭雑事」とし、家事に費やす時間を子どものいる夫婦で平均3.62時間、子どものいない夫婦で平均3.11時間(2010年)としています。ただ、一般的には育児や介護などのサービスはより専門的な事業者が行い、家事代行サービスの対象外とされています。ここでは家事の範囲を「炊事」「掃除」「洗濯」「買い物」などとし、時間は3時間程度とするのが妥当でしょう。