箱根駅伝Stories/仲間思いの帝京大キャプテン西脇翔太「“個人目標=チーム目標”と思ってやってきた」
新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。 第100回箱根駅伝の帝京大エントリー選手名鑑をチェック!
責任感に苦しんだ前期シーズン
「主将という立場になってからは、“個人目標=チーム目標”みたいになっていて、個人目標を立てることが少なかった。そうやってここまで来ました」 今季、帝京大で主将を務める西脇翔太(4年)に個人の目標を尋ねると、こんな答えが返ってきた。 西脇は初めて箱根駅伝を走った前々回は10区、前回はエース区間の2区を担った。ここまでは、1年生の頃から目標としてきた3学年先輩の星岳(現・コニカミノルタ)と同じ歩みだ。 以前、西脇は「1年の頃に同部屋だった星さんの記録をずっと意識している」と話していた。最終学年でも星と同じように2区を走ることを希望していると想像していただけに、意外な回答だった。 「もちろん2区を走りたいですし、往路を走りたい。ですが、僕の最大の希望は、監督が『西脇をここに置けば勝てる』と言ってくれる区間を走って仕事をすること。それが目標だと思っています」 “For the team”の思いが人一倍強い西脇らしい目標だった。 今季は春先に10000mで28分台を連発。関東インカレ(2部)ではタイムレースの1組目で1着(総合16位)となり、自己記録を28分38秒43まで伸ばした。名実とも支柱としてチームを引っ張る西脇の姿があった。 だが、その思いの強さは諸刃の剣。気負い過ぎるあまり、責任感の強さが裏目に出ることもあった。 6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では、脱水気味になり、最終組で32着と力を発揮できなかった。 そんなことがあっても、中野孝行監督は西脇のキャプテンシーを高く評価している。 「関東インカレだったり、全日本大学駅伝選考会だったり、西脇はストレスの溜まる場面ばかり担ってきた。夏もキャプテンという立場でかなり気を張っていたように思います。9月に新型コロナに感染してしまった時には、『すみません、すみません……』と何度も謝っていて、他の人にうつしていないか、仲間に迷惑をかけていないか、周りのことばかり気にかけていました。一生懸命やってきたのだから、コロナになってしまったことは仕方ないのに……。彼はすごいんですよ。本当に責任感が強い」 主将としての西脇がどれほどの重圧を抱えてきたか。中野監督は間近で見てきた。