『PUBG』開発の韓国クラフトンが「短編ドラマ」配信企業に130億円出資
韓国のオンラインゲーム大手KRAFTON(クラフトン)は9月11日、ソウルに拠点を置く短編ドラマのプラットフォームを運営するSpoon Labs(スプーンラボ)に1200億ウォン(約127億円)を投資したと発表した。 バトルロワイヤルゲームの『PUBG』で知られるクラフトンは声明で、短編ドラマの成長ポテンシャルや新たなIP(知的財産)の獲得機会、そして「既存事業とのシナジー」への期待からスプーンラボを支援することを決めたと述べている。この投資は、同社の非ゲーム分野への最大の投資になったという。 2013年に元LGエレクトロニクスの研究エンジニアのニール・チェが設立したスプーンラボは、Z世代をターゲットにした音声配信アプリ「Spoon(スプーン)」の運営元として始動した。このアプリは、ユーザーが声を通じてコミュニケーションをとる米国のオーディオチャットアプリClubhouseに似た機能を持つものだ。 Spoonは韓国でサービスを開始した後に日本や中東、北アフリカ、米国、台湾へと展開した。スプーンラボの2024年上半期の収益は250億ウォンで、そのうちの60%以上が海外からの収益だった。同社の2023年の収益は455億ウォン、純利益は56億ウォンだった。 スプーンラボは7月に短編ドラマのストリーミングプラットフォーム「Vigloo」を立ち上げて、各エピソードが約2分間のドラマを配信している。Viglooはこれまで60のドラマシリーズを配信しており、英語、中国語、インドネシア語、日本語、韓国語、スペイン語、タイ語の7言語に対応している。 クラフトンの声明によれば、スプーンラボは年内にドラマシリーズの数を倍増させる計画で、米国と日本でのマーケティング活動を強化し、日本のドラマも配信する予定という。 クラフトンのキム・チャンハンCEOは声明で「スプーンラボは、過去数年間にわたりSpoonを通じて海外市場で強固な地盤を築いており、新たに立ち上げた短編ドラマのプラットフォームで、業界のエコシステムを創造しようとしている」と語った。 スプーンラボは、直近の2019年のシリーズCラウンドで450億ウォンを調達していた。このラウンドには、NAVERやIMM Investment、KB Investmentなどが参加し、スプーンラボの評価額は、3000億ウォン(約320億円)とされていた。同社の他の投資家には、ソフトバンクやアルトス・ベンチャーズ、グッドウォーター・キャピタルなどが含まれている。 クラフトンによるスプーンラボへの投資は、これまで大ヒット作品の『PUBG』に依存してきた同社の収益源の多様化の試みの一環だ。2021年に韓国取引所に上場したクラフトンは、それ以降にゲームポートフォリオの拡大を目指して27社に投資し、8月に東京に拠点を置くTango Gameworks(タンゴゲームワークス)を非公開の金額で買収した。
Zinnia Lee