ようこそアサギマダラ 長野県東筑摩郡筑北村の西澤壽雄さんの畑に初飛来
長野県東筑摩郡筑北村坂井松場の西澤壽雄さん(97)が自宅近くの畑で4年間栽培してきたフジバカマに今秋、渡りをするチョウ・アサギマダラが初めて飛来した。「自分の畑にアサギマダラを呼んでみたい」との夢を抱いた西澤さんは大けがなどにもめげず地道に手入れに励み、ようやく飛来したチョウを満足そうに眺めている。 きっかけは十数年前、西澤さんが幼なじみとの雑談で「フジバカマにアサギマダラが引き寄せられる」と知ったことだった。8年前に知人から偶然1株をもらい自宅の裏庭に植えたが、飛来はしなかった。 ある時、テレビ番組で花を増やせばよいと知り、3年前の春により広い遊休農地へ移植した。妻の芳子(かおこ)さんと共にこつこつ草取りなどに励んできた。一昨年2月には、自宅裏で転倒して右足太ももの関節部分を骨折。高齢で歩行再開は難しいだろうとも言われたが、80日間のリハビリに励み、医師が驚くほどに回復。補助具を押しつつも手入れを再開できた。 花は肥えた畑ですくすくと育ち、毎年、株分けして増やすうちに3アールほどの花畑に成長した。しかし昨年まではアサギマダラが飛来する気配は一切なかった。共に飛来を楽しみにしてきた芳子さんは昨年秋に体調を崩し寝たきりとなり、11月に91歳で他界した。 だが西澤さんはあきらめずに今年も草取りに励んだ。すると開花した9月末ごろから徐々にアサギマダラが姿を見せ始め、秋晴れの今月6日には30匹以上が舞う光景が見られた。 西澤さんは「これほど飛んできてくれるとは思わなかった。やっとだ。妻にも見せたかった」と感無量の様子で「来年はもっと多く飛んできてくれるよう、今後も手入れを頑張りたい」と意気込んだ。
市民タイムス