問題相次ぐ「学校健診」 校医に求めるのは「いやな検査があったら『やめてほしい』と言っていい」許可【学校健診問題を考える(上)教師の見方】
学校側に必要な3つの対応
「学校における健康診断は、児童生徒の健康の保持増進を目的として行われるものです。これは、学校保健安全法によって規定され、言うまでもなく児童生徒が健康に日常生活を送ることができるように、行われるものです」 公立小学校の教師で、教育に関する書籍を多数執筆している山田洋一さんはJ-CASTニュースに、学校健診についてこのように説明する。 一方で、 「しかし、健康のためだからと言って、どんな検査の仕方であっても黙って受け入れるべきだというのは、適切ではありません」 と断言した。 直近で問題となった学校健診では、複数の児童が不快感を訴えたことが報じられている。山田さんは、「本来、心身の健康のために行われるべき健康診断で、心身不調の原因となるような扱いを受けるのは、不適切なことと考えられます」と述べた。 そのうえで山田さんは、健診の際に学校側に必要な対応として、次の3点を挙げる。 「(1)健康診断の方法について、学校医との打ち合わせを入念に行うこと (2)健康診断の方法は、児童生徒のプライバシーや心情に十分配慮した方法とすること(他の児童生徒に個人情報が漏れないように配慮すること、できるだけ着衣のまま健診を受けるなど) (3)健診の目的、方法を保護者と児童生徒に事前に説明すること。特にどのような疾患が見つかる可能性があるのか、をしっかりと事前に説明すること」
校医側には求めたい3つの対応
一方で、健診を担当する校医に求めたい対応はどうか。 山田さんは1つ目として、打ち合わせ時に「○○のために、□□を△△のように診る」といった具合に健診内容を丁寧に説明してもらいたいと挙げた。そうすることで、養護教諭や担任教員からの児童生徒への丁寧な説明につながるという。 「通常、学校健診は短時間で行われるため、一人を診察する時間も極端に短くしなくてはなりません。もちろん、健診の目的や方法をその場で説明することは、現実的には無理です。しかし、児童生徒が安心して健診を受けられる環境づくりとして、健診の目的や方法の説明は必須です。代理的にであっても、不安なく健診をするための説明が、必要でしょう」 さらに、「こうした健診に対する安心、安全な環境づくりは、将来にわたって児童生徒が疾病の予防や早期発見に努める態度につながるもので、国民の健やかな営みを将来にわたって保障するものになるはずです」とも述べた。 2つ目は、「『どうしても、いやな検査があったら「やめてほしい」と言っていい』ということを、児童生徒本人に許可してもらえると、健診への安心度が高まります」と伝える。 「学校には、人に触られることを過度に嫌がる児童生徒、なれない環境、不安を感じる環境が極端に苦手な児童生徒などもいます。ぜひ、そうした児童への配慮にご協力を得られたらと思います」 3つ目は、「健診に関する学校からの要望をできるだけ受容していただけると、ありがたく思います」と挙げた。 なぜなら学校は医師に対し、短時間で多数の児童を診なければならない健診に来てもらうことを「たいへん申し訳なく思っています」。そのため、「児童生徒に関する個別の要望を伝えにくいと感じている場合も少なくありません」と状況を明かした。 「こうした状況を超えて、真に児童生徒の健康のための健診が具現できるように、できれば医師と学校とが対等な関係を結べるとよいと考えます」