マクラーレンF1、大躍進のカギは“技術部門の再編成”にアリ「チームが進歩する基礎になった」本領発揮は2024年から?
F1の2023年シーズン後半に大躍進を見せたマクラーレン。その“根本的な要因”としてチーム代表のアンドレア・ステラは、技術部門の再編成を挙げた。 【動画】F1ドライバーにMotoGPライダー……世界のホンダがもてぎに集結! ホンダ・レーシング・サンクスデー2023 ステラ代表は、ザウバーへ移籍した前チーム代表のアンドレアス・ザイドルの後任として、2022年の冬にチーム代表に昇格した。ステラ代表が行なった最初の大仕事は、技術部門を再編成。それまでテクニカルディレクターを務めていたジェームス・キーがチームを離れ、技術チームは空力部門、車両コンセプト・パフォーマンス部門、さらにエンジニアリング・デザイン部門をカバーする”3本柱”システムを採用した。 そしてマクラーレンはテクニカルディレクターとして、フェラーリからデビッド・サンチェス、レッドブルからロブ・マーシャルを獲得。ふたりはマクラーレン加入を前にガーデニング休暇中だが、ステラ代表はチームの新体制がテクニカルディレクターに力を与え、「責任の明確化」を実現したと考えている。 その中でも、ステラ代表はピーター・プロドロモウ率いる空力部門の再編成が“不可欠”だったと語る。実際、マクラーレンは2023年シーズン開幕当初、入賞すら難しい状況だったものの、大型アップデートで表彰台争いの常連にまで巻き返し、最終的にアストンマーチンを抑えてコンストラクターズランキング4位を獲得した。 「技術的な再編成は、マクラーレンが進歩する基礎になった」 ステラ代表はmotorsport.comの取材に対してそう語った。 「再編成自体には、実際にはまだ(マクラーレンでの仕事を)スタートしていない人たちも含まれている」 「3名のテクニカルディレクターを含む新しい技術体制について言えば、そのうちのふたりはまだ始動していない。空力部門のピーター・プロドロモウ、車両コンセプト・パフォーマンス部門のデビッド・サンチェス、エンジニアリング・デザイン部門のロブ・マーシャルだ」 「結果的に、この体制によって責任の所在が明確になった。短期的に不可欠だったし、これによってピーター・プロドロモウを責任者に据え、ジュゼッペ・ペッシェがサポートすることとなった。彼らは空力的な観点からマシンのデザインに新たな方向性を打ち出すのに大いに貢献してくれた」 マーシャルとサンチェスは2024年1月からマクラーレンに加わることになるが、それに加えて十数人が補強のために技術部門に合流することとなる。 しかし、ステラ代表は2023年シーズン後半にランド・ノリスとオスカー・ピアストリが手にした9回の表彰台と、ピアストリのスプリント1勝は、すでにチームにいた人材による功績だと強調した。 同時に、2023年夏に稼働を開始した新風洞は、2024年マシンのプロジェクトから使用されており、インフラ整備や技術体制の刷新による効果がコース上に現れるのは2024年以降となる。 「これ(補強)はマクラーレンに既にいる才能あるスタッフを活かすためのモノだ。ジオメトリーを物理的に設計するのは同じ人間だからね」 「ただ、明確な方向性と目標を設定し、エンパワーメントと熱意をスタッフとの接し方の基礎とすることで、彼らの才能を解き放つことができた。それが重要だった。そして、我々はそうやって未来へ向かっている」
Filip Cleeren
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