佐野玲於の自分らしく生きるルール「目標や理想は、あればあるほど遠のくもの」
良い空気感&エネルギーに満ちた現場
『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』は、より三島の成長や葛藤にフォーカスが向けられた構成になっている。役作りについては「とにかく楽しくやろう、それしか考えていなかった」という。 「正直つらいシーンもあったんですけど、現地のスタッフさんと仲良くなって、波長の合う楽しいチームで最後まで撮影に臨めました。健太さんが先導を切って『この空気感を大事にしようぜ!』ってすごく盛り上げてくださったので、僕はそれについていけばいいっていう安心感があって。良いエネルギーに満ちた現場だったと思います」 まさに木原と三島の関係性が地続きとなった現場だったのかもしれない。異国の熱い空気とエネルギーは、また前シリーズとは違った肌触りを伴いそうだが、再び三島を演じるにあたっては「身体に染み付いている感じがある」と佐野は言葉にする。 「前作の撮影が終わったころ、続編をやると決まっていたわけではないのに『絶対やるよね!?』っていう謎の空気感が、チーム内にありました。不思議な確信、というか。いざ続編が決まったときに健太さんから電話をもらったんですけど『また祭りが始まるな~!』って言ってましたね(笑)。タイでの撮影がどうなるのか未知数でしたから、二人で30分くらい妄想電話して。スタッフさんも全員やる気満々でしたし、そういったシナジーが自然と信頼関係に繋がって、この作品に結集されている気がします」 木原の破天荒っぷり。三島の記者魂。キャラクターはもちろん、ストーリーの濃さも何倍にも凝縮されている。より壮大でエンターテイメント性が深まった『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』。佐野は「ジェットコースターに乗るときの、ヒヤヒヤ&ワクワクした気持ちで楽しんでほしい」と目に光を宿しながら言う。
ピュアでポンコツ、でも記者魂に溢れるのが三島
木原のどんな無茶ぶりにも、三島は文句を言いながらも根性で立ち向かう。木原はそんな三島をしきりに「ポンコツ」と揶揄するが、どんなに三島が危ない目に遭っても、いざというときは助けに現れる。友人とも仕事仲間とも言えない、この二人の間には独特な信頼関係があるように見える。 「嫌よ嫌よも好きのうち、みたいな関係性ですよね。木原は一見すると破天荒ですけど、実は愛が深いし人間味もある。情報屋として目的達成のために動く過程で、間接的に『情報とは何か?』と僕らに投げかけられるテーマ性も帯びているし、木原というキャラクターがいることで物語に一貫性が出たのが前作の『インフォーマ』だったんじゃないかと。それを受けた今回の続編では、三島の成長や内面を描いているので、合わせて観てもらえると二人の“でこぼこ感”がより伝わると思います」 木原と向き合うことで、自身に染みついた三島というキャラクターが自然と滲み出てくる、と語った佐野。約2年前よりも成長した三島を演じたことで、あらためて彼の「ピュアさ」に気づいた。 「週刊誌記者なのにピュアで、危ない現場に立つ自分にゾクゾクしているようなところもあって。木原とともにスリルを味わうことで、それが癖になっちゃってるんじゃないかな。彼なりの記者魂や根性もあるけどポンコツっていう、どこか人間としてのおもしろみもある。木原も、三島のそういうところを買って信頼を置いているというか、上手く利用しているんだと思います(笑)」 佐野自身は、相手のどんなところを見て信頼に足るか判断しているのだろうか。ファンの間でも「交友関係が広すぎる!」と話題になるほど、業界問わず友人の多い佐野の答えは「どうなんですかね……直感じゃないですかね」。 「きっと本能的に、合わない人は合わないって直感で判断してるんじゃないかな。ほんと、僕は良い人たちに恵まれていると思います。たまたま仕事をきっかけに知り合った人と仲良くなったり、その繋がりで友人が増えていったりして。自分から『紹介して』なんて一度も言ったことないですけど、ありがたいことに縁が広がっていってますね」 良好な人間関係を保つコツは「考えすぎず、良い意味で適当に」。何か違うな、と思ったらその場を離れ、自分が楽しいと思える人と場所を探す。彼が誰からも受け入れられる所以は、そんな身軽でシームレスな姿勢が心地良さを生んでいるからなのかもしれない。