北海優駿に出走予定のブラックバトラー(撮影：田中哲実)

　JpnI競走として生まれ変わった新・東京ダービーが、大井競馬場で開催された。ダート改革の中心的レースであり、他のすべての地方競馬場から「ダービー」という文言を預かったレースでもあるわけだが、京浜盃でJRA勢を圧倒した門別出身馬サントノーレや、岩手の怪物フジユージーンの回避という不慮の事象もあり、やや淡白に終わった印象である。もちろん、JRAに枠を開放した以上、この結果は想定の範疇だ。ただ唯一、高知のシンメデージーの頑張りは、地方馬にとってこの先の希望の光となりそうである。 【写真】ブラックバトラーこれまでの軌跡 　ホッカイドウ競馬の三冠に話を移そう。ブラックバトラーが新設ダート三冠出走を目指して遠征を重ねたことは、北斗盃のときに述べた。まったく力を発揮できなかったそこでの鬱憤を、地元で見事に晴らしたのが北斗盃での勝利である。ナーバスな気性であるこの馬にとって、やはり輸送競馬は合わなかったのだろう。実力だけで言えば、件の東京ダービーでも好勝負できたであろうレベルである。今回は外回り2000mへと舞台が大きく変わるが、この馬にとっては、北斗盃の内回り1600mよりむしろ合うはずで、評価を下げる根拠はない。今回も地元で思う存分、躍動してもらいたい。 　ブラックバトラーを信頼するなら、相手の序列づけがポイントだ。実績的にはパッションクライが対抗格。北斗盃は積極果敢なレース運びで見せ場を作ったが、やや粘りを欠いたところを見ると、まだ絶好調時のデキではなかったと考えるのが妥当だろう。2000mは若干、長い気もするが、前走からの上積みに注目したい。 　今季の成長株として頭角を現したのが、北斗盃でブラックバトラーに迫る伸びを見せたミソ。折り合いに不安がなく、息の長い末脚を使える強みは2000mで更に輝きそうだ。 　体質の弱さを補って余りあるポテンシャルが魅力のスティールドリーム、遠征での経験を糧に一発を狙うオオイチョウも圏内である。 「ダービー」の名はなくなっても、ホッカイドウ競馬3歳世代の頂点を決める熱戦であることに変わりはない。 (文：競馬ブック・板垣祐介)