マイケル・ケインありがとう!“ケイン愛”たっぷりなファンが集結。引退作『2度目のはなればなれ』試写会に潜入
名優マイケル・ケインが、老夫婦による感動の実話を映画化した『2度目のはなればなれ』(10月11日公開)で華麗なる俳優人生に幕を下ろす。9月16日に東京都内で本作の「マイケル・ケインありがとう!試写会」が行われ、愛と感謝を届けたいファンが集結。ケインにちなんだアイテムを身につけながら本作を楽しみ、温かなひと時を過ごした。 【写真を見る】マイケル・ケイン、ありがとう!老夫婦の感動の実話を映画化した『2度目のはなればなれ』でケインの名演を堪能 本作は、イギリスの老人ホームで寄り添いながら人生最期の日々を過ごす老夫婦バーナード(ケイン)とレネ(グレンダ・ジャクソン)の姿を描くヒューマンドラマ。バーナードがフランスのノルマンディへ旅立って行方不明になったという警察のツイートをきっかけに、バーナード&レネの行動が世界中で話題となる。2人が離れ離れになるのは人生で2度目。決して離れないと誓った男がどうしても離れ離れにならなければいけなかった理由、必ず戻ってくると信じる妻の真実の想いが映しだされる。 お互いに“2度”のオスカー受賞経験を持つケインとジャクソンが50年ぶり“2度目”の共演を果たし、“2度目”の夫婦役を演じたことも話題に。本国イギリスで大ヒットを記録した。ジャクソンは映画公開前の2023年6月15日にこの世を去り、輝かしい女優人生に幕を閉じた。一方、ケインが脚本を受け取った当時の年齢は89歳。その前に俳優を引退していたこともあり、当初はオファーを断っていたという。しかしストーリーに心を寄せたケインが、人生の深い味わいを描いた本作への出演を決定。これをもって俳優人生に幕を下ろすことになった。 試写会では、劇中でキーアイテムとなる押し花をモチーフにしたスタッフ手作りの折り紙が配られた。この日のドレスコードは、英国紳士であるケインにちなんだアイテムだ。会場にはハンチング帽や黒縁メガネ、サングラス、ネクタイなどアイテムを身につけた観客が集まった。「この日のためにステッキとハンチングを購入しました」と映画のバーナード&レネに寄せたファッションで駆けつけた夫婦の姿もあった。 さらに「本作の公開を待ち望んでいました。ケインが出る映画はどれも味があって好きです。そんな映画に深みを与えてくれる彼の引退作をこの目に焼き付けたいです」、「芸術専攻の授業で映画を学ぶうちに名優へのリスペクトが日々増すようになりました。ルーヴルでは映画は7番目の芸術としてナンバリングされていますが、名優の演技を心身に保管・継承するものとして引退作を心に刻みたいです」、「引退作とあれば観るしかありません!いちはやく観たいです」と誰もが本作への期待や、はやる気持ちを打ち明けるなど、“ケイン愛”も持ち寄って上映がスタートした。 夫婦のたどる道のりを通して、戦争の経験や死、老いること、永遠の愛といった、人生のあらゆる側面が浮き彫りとなる作品だ。夫婦がお互いに向ける愛を瞳や佇まいからもにじませるなど、2人の名優の鮮やかな演技も心に残り、上映後には会場から大きな拍手が湧き起こるひと幕もあった。この日の最後には、ケインに向けたメッセージ「Thanks a million to our dearest Michael Caine!(親愛なるマイケル・ケインに100万の感謝を!)」を掲げてファンが一斉に愛情を表現していたが、続々とあがった熱い感想からも、本作が胸に強く響いたことが伝わってくる。 映画公式Xで実施している「#2度目コメントCP 」キャンペーンに投稿された感想をピックアップしてみると「2人の名優の夫婦の演技にホッコリし、そして泣かされた。ケインもそうだが、グレンダにとってもキャリア最高の演技だと思う。ケイン、本当にお疲れ様でした。これからもお元気で」、「ケイン渾身の演技。時折ジョークを挟むチャーミングさを見せながら、戦争についての向き合い方についても学ばせてくれる。楽しさと学びを与えてくれる映画だった」、「戦争で負った心の傷は癒される事がない事を痛感。ケインとジャクソンの老夫婦が、想像以上に素敵だった。心に残る作品をありがとう!」、「『喜びも悲しみも幾歳月』のように人生の機敏が温かく伝わってくる」、「悔いの無き人生を送りたい全ての人へ見て欲しい作品だ」など、役者陣への敬意もたっぷりと込められていた。自分にとっての大切な人、そして自分自身の人生まで愛おしくなるような本作を、ケイン&ジャクソンの名演と共にぜひ堪能してほしい。 取材・文/成田おり枝