世界初の情報サービスへと進化、「ETC2.0」って何だ?
夏休みの帰省や旅行でマイカーを使用している人のほとんどは、高速道路の料金支払いに「ETC」を使っているのではないでしょうか。実は、そのETCがパワーアップして「ETC2.0」へと進化を遂げていることをご存知でしょうか? 今回は、このETC2.0の特徴と導入の方法についてレポートします。
料金支払い+情報サービス=活用シーンが拡がるETC2.0
高速道路料金の割引サービスや首都高速道路への距離別料金導入などを背景に、ETCはほぼ全ての車に普及したと言えるほど浸透しました。その数(累計セットアップ件数)は2015年7月で約6790万件にのぼるほどです。こうして普及した従来のETCは、主に高速道路利用区間の計測と料金の支払のためのみに使用されてきましたが、ETC2.0はこれに情報サービスを組み合わせ、ドライバーを支援することを目的とした「世界初の路車協調システム」(国土交通省)として開発されているのが大きな特徴です。 高速道路の料金所でETC搭載車が料金を支払うとき、車に載せた「車載器」と料金所にある「アンテナ」が無線通信を行い、利用者の情報や料金の決済情報をやりとりしています。ETC2.0はこの無線通信を高速・大容量化し、情報を送受信するスポット(ITSスポット)を道路上に配置。これにより、ドライバーをサポートする様々な情報を車に送信しようと考えられているのです。 では具体的に、どのような情報がETC2.0を通じてドライバーに届けられるのでしょうか。そのひとつは走行している高速道路上の安全運転情報です。高速道路上には「この先 急カーブ」「出口 渋滞注意」「雨 走行注意」「この先 落下物あり」といった様々な安全運転のための情報が掲示されていますが、こうした情報をタイムリーにカーナビや車載器の音声メッセージを通じてドライバーに通知する仕組みが開発されています。
長距離のドライブで疲れているときや高速道路の運転に慣れていないドライバーなどは、道路の脇にある情報掲示板に気が付かないことや道路上の危険に対して注意力が散漫になるもあり、それが思わぬ事故の発生リスクを高めることになります。しかしETC2.0では、カーナビや車載器を通じて車内のドライバーに直接注意を促すことでこうした、こうしたリスクの軽減が期待できます。また、大地震などの災害発生時には危険をドライバーにいち早く伝え、適切な行動を促すことも可能になるのです。 もうひとつは、広域渋滞情報の受信です。ETC2.0では、ITSスポットを通じて最大1000キロ分の広域道路交通情報が提供されるため、ETC2.0に対応したカーナビは、その情報を活かして目的地までどのようなルートを辿れば最短時間で辿り着けるかを計算することができるようになります。また国土交通省によると、今後は混雑したり事故で渋滞している箇所を避けたりするためにETC2.0を活用してドライバーに迂回を促し、実際に迂回したドライバーは優遇措置を行うという構想も考えられています。