「またトラ」に導いたマーケティング戦略とは?(米大統領選解説)
YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。 2024年11月8日に公開された動画のテーマは「アメリカ大統領選 トランプ勝利!勝因は?」 これまで幾度となくアメリカ大統領選や議員選挙の予想を的中させてきた国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏を迎え、今回のアメリカ大統領選について解説いただきます。報道ではトランプ氏圧勝の結果は意外に映りましたが、その裏側にあったものは……? 【このトピックのポイント】 ・共和党と民主党、どちらがより分断を作ったか ・ハリス氏の「自滅」と民主党の人材難 ・「不正選挙」ではない、アメリカの選挙制度
「分断を作った」民主党陣営のマーケティング戦略
トランプ候補の勝利が即日で判明した、アメリカ大統領選。収録時点の11月7日の段階では、まだ2州の開票結果を待っている状態ですが、獲得票数はトランプ氏294人ということで過半数を得て、当確が出ています。 渡瀬裕哉氏「予測の範囲内ではトランプ氏にとってMAX強い数字が出たので、圧勝といっていいと思います」 勝因は、一番は有色人種の票を確保できたこと、次いで白人労働者の票をより一層取れたことにあります。 渡瀬氏は、州の下の単位である「郡」の集計結果に注目します。日本でいう市町村のような位置づけで、大統領選では郡単位で集計を行います。 渡瀬氏「ペンシルバニア州バックス郡には白人の労働者がすごく住んでいて、トランプはすごく勝っている。ヒスパニックが住んでいるノーザンプトン郡でもかなり良い数字。ノースカロライナ州でも勝っているのですが、人種が多様なところでもなかなか数字がいいんですね」 今回の大統領選では各陣営とも激しいやり取りが続き、分断を生んだと言われていますが、渡瀬氏は「トランプ氏のほうがむしろアメリカ社会を統合して、ハリス氏のほうはエリートとそうでない人の分断を作ってしまった」と指摘します。 渡瀬氏「簡単に言うと、アメリカではハリスさんがいけ好かない人だったと思われたということだと思います」 トランプ氏は、前回選挙でも白人の労働者から支持を集めていました。今回は、それに加えて有色人種やヒスパニック移民の支持を広げたと考えられます。 渡瀬氏は、両党の選挙戦略の差が見られると指摘します。 渡瀬氏「ハリス氏は女性だし、有色人種だし、ポリティカルコレクトネスの塊のような存在。有色人種の女性の大統領候補だから、有色人種の人は当然応援してくれるよね、みたいな感じ」 渡瀬氏は、「米民主党は人の肌で選挙のマーケティングをする」と指摘します。そこには、差別でなく人の価値観を軽視している傾向が見られます。 渡瀬氏「アフリカ系やヒスパニックの人には敬虔なキリスト教徒が多い。敬虔なキリスト教、福音派にとってはLGBTは受け入れられないので、価値観で投票するとなると共和党に投票する人が増える」 また、移民の中でもすでに市民権を獲得した人にとっては、不法移民によって自分の仕事が奪われるかもしれないという拒否感があります。今回の大統領選の結果は、「トランプ氏が政策的、価値観的にちゃんとフォーカスして票を取ったと考えるのが妥当」と、渡瀬氏は指摘します。