ベランダから飛び降りて車椅子生活に…増加する子どもの自殺をどう防ぐ?フリースクールが大切にしているのは「まず子どもたちを笑顔に」
夏休みが終わり新学期が始まると、子どもが自ら命を絶つ悲しい出来事が増えると言われています。名古屋のフリースクールとベストセラー作家に子どもの命を守るためにはどうすればよいのか、話を聞きました。
学校とも家庭とも違う"フリースクール"とは?
愛知県内のNPO法人「ハッピーラボ」が運営する、名古屋市中区の「フリースクールたんぽぽ」。民宿だった木造の一軒家を改装し、3年前に開校しました。 ここに通っているのは小学生から高校生まで約15人。その多くが、学校生活に悩んで不登校になった子どもたちです。スクール内では、基本的に何をして過ごしてもいいルールで、パソコンゲームができる部屋、マンガを読んでいい部屋、ボランティアの講師が個別に勉強を教えてくれる部屋などがあります。過ごし方は自由ですが、いじめとけんかは厳しく禁じられています。 愛知県内に住む中学3年生の少年は、2年前から、ほぼ毎日ここに通っているそう。学校では人間関係が悩みだったといいますが、ここでは、その人間関係が楽しいと言います。 (中学3年生の少年) 「小学生まで何とかやってきたんですけど、中学校がつまらなくなって。たまたま、ここに来てみたら、すごく楽しかった」 一方、中学1年生の少女は、2か月前に親の勧めでここへ来るようになりました。 (中学1年生の少女) 「(きっかけは)一番は学校でやっていけるかな…という。でもここは、みんな優しくて、ちょっと安心できる場所だった」 学校にも家にも見つけられなかった「安心」がここにはあります。中には、キーボードとマウスを同時に操作するゲームで遊ぶことで、タイピングがすごく速くなった子も。 (ハッピーラボ・森美智理事長) 「ゲームの中でも"学び"がある。プログラミングではないけど、外国でも教材として使われているものなので英語も打てます」
夏休み明けはストレスが続く時期 子どもの自傷行為は年々増加
森さんは、自身の子どもが不登校だった経験から、この活動を始めました。 (ハッピーラボ・森美智理事長) 「学校に行けないということで、家庭が壊れるというのは、意味が分からなくなって。まず子どもが笑ってくれたり、元気にご飯を食べるとか。そこを大事にすればいいと思ってからは、いい方向に流れ出した」 この活動を始めて7年。夏休みが明けてしばらくたった時期も、子どもはストレスを感じていると話します。 (ハッピーラボ・森美智理事長) 「夏休み明けは学校に行きやすいタイミングだと子どもたちは解っているが、体がついていかない。でも、頑張れるんじゃないかとか、葛藤の中で過ごしている時」 追い込まれた子どもたちは、自傷行為を行ってしまうこともあるそうです。 (ハッピーラボ・森美智理事長) 「自分は"生きている意味"があるのとか。どんどん自分を責めていって、傷つける子が多いですね。ここに来ている子じゃなくてもたくさんの相談が私の方にも来ています」 国の調査によると、2023年の自殺者数は2万1818人。2022年に比べて63人減少しましたが、児童・生徒の自殺者数は513人と年々増加傾向にあります。