「提案書」作成のAIスタートアップ企業、オートジェンAI社が創設約2年で56億円調達。グローバル展開加速へ
提案書作成の難しさを知るCEOは、元提案書作成者
AIは現在、さまざまな分野においてビジネスのあり方に変革をもたらしている。そのうちの1つが入札・提案業界だ。 オートジェンAIの開発に手を貸した英国のデジタル・ワイヤ社に、ウィリアムズ氏は提案書を書くには膨大な時間とエネルギー、予算が必要であることを話している。提案書の自動起草ツールを創り出すにあたり、AIを導入すれば、スピードアップとコスト削減を行いながらも、提案書の質を落とすことなく、うまく落札できることを示したかったと創業の意図を説明している。 実は、ウィリアムズ氏はキャリアのスタートを提案書作成者として切っている。企業・組織にとって普遍的な提案書作成の難しさを経験し、それをビジネスチャンスとして捉えた。そして解決策として、オートジェンAIを開発したというわけなのだ。
AIに任せられる作業は任せ、その時間でより質の高い提案書を作成
オートジェンAI社は、入札・提案業界内でAIを取り入れると効率がよりよくなり、効果を上げる分野を見極めた上で、ソフトウェアを開発した。 例えば、リサーチ分野。AIは、膨大な量の提案に関する質問への回答や提案書類を短時間にスキャンし、検索することができる。クライアント独自のデータとインターネットからの情報の両方を用い、広範で関連性が高い検索結果をたった数秒で提供してくれる。従来であれば、専門家が提供してくれる情報を待った上で、提案書類を作成しなくてはならなかった。しかしAIを取り入れれば、その必要はなくなる。 またプランニング分野において、AIは提案依頼書に挙げられた質問や要件を分析し、中心となるテーマや必要な情報を抽出することができる。そしてそれを基に、概略を作り、先方が求める内容に沿っているかをチェックするためのリストを提供。落札するために、提案先にアピールする提案書を作り上げる。 AIを導入すれば、提案書作成の準備・執筆・見直しの各段階で効率化を図れる。実際提案が行われた際に、その提案が高い評価を得られるよう、作成者を導く機能もAIは持ち合わせている。 時間短縮にもAIは一役買う。提案書作成者は、リサーチ、コンテンツの作成、書類の見直しなどを、AIによって自動化することができる。 落札は、提案の最も重要な目標だ。AIは提案書類の反復的な側面を自動化することを通し、落札率の向上に貢献している。つまり提案書作成者は、今までそれに取られていた時間を、「ウィン・テーマ(具体的な証拠に裏付けられた、受注するための簡潔で印象的なフレーズ)」などの戦略的要素をはじめ、差別化要因やバイヤー・プロファイリングなど、複雑な作業に充てることができる。その結果、競争力のある提案書が出来上がる。AIは他社を抑え、落札の可能性をアップさせる。