還暦を迎えた「ザ・コレクターズ」の古市コータローに聞く、バンドマン人生の最終目標とイケおじになる秘訣
ーー本性に戻るといえば古市さんは幼い頃、矢沢永吉さん、CHARさん、沢田研二さんらが好きだったとか。今回のアルバムもそんな方々を彷彿させる部分がありますね。それこそ今どきの洒落たカフェより、町中の居酒屋でかかってもおかしくない気がするし。 古市 いいねー! 居酒屋で流してくれたら最高ですよ。そもそも俺、昭和のパチンコ屋に合う音楽を目指しているから。わかります? ーークセのある大人たちがしのぎを削り、出玉を争っていた危ない雰囲気みたいな。それ、本当に昭和ですよね......。 古市 それはそうでしょ。昭和に育っているし、樹れい子さんもそうだけど、幼い頃から自分が憧れていたものは、全部昭和のものだから、表現に昭和が出ちゃう。決して令和ではないなー。電子タバコとか、まったく憧れないし(笑) ーーちなみに古市さん自身、いまライバルはいるんですか? 古市 もう誰とも争ってないですね。昔はかっこいいギタリストがいたら「なんだよ、あいつ!」ってイラっとしたけど、いまは「カッコいい!」と思っちゃう。でも、負けたのかといえばそうとも思わないけど。まぁ自分に自信がついたのもあるんだろうな。 ーー誰もに対して大きい気持ちで接することができるようになったというか。そういえば以前、ある取材で「最近、優しくなったねと言われるような音楽をやりたい」とお話しされていましたね。 古市 いまはもっとそういう気持ちだし、最終的にはそこが目標ですよね。誰に対しても優しくなれるって最高じゃん。そういう人間になりたいし、器のデカさを感じる音楽を鳴らしたい。それは単に人間が丸くなったというのとは違うと思う。 ーー昔の自分が、いまの自分を見たらどう感じると思います? 古市 羨ましいと思うんじゃないかな。CHABOさん(仲井戸麗市)を見ていいなと思ったもん。RCサクセションで活躍しているのに、ソロもやれるんだ、自分もああなりたいなって。で、いまの俺はバンドもソロもやれてるし。 ーーなるほど。古市さんみたいに大人になるには、若い頃なりたかった自分を目指せと。 古市 うん。それはあると思う。 ーー最後に還暦を迎え、目標なんてあります? 古市 『Dance Dance Dance』のタイトル通り、軽やかにステップを踏む60代になりたいですよね。「もう60歳か~」ってがくっときちゃうこともやっぱりあるでしょ。でも年齢なんて気にせず、動き回っていないと。それこそ最近、吉野家に行っても牛丼の大盛りなんて頼まないけど、またがっついて、ますます勢いつけなきゃなって思っていますから(笑)。 ●古市コータロー1964年5月30日生まれ 東京都出身THE COLLECTORS のギタリストとして1987年『僕はコレクター』でメジャーデビュー。 以来、THE COLLECTORS として25枚のオリジナルアルバムをリリース。ソロとしては、現在6枚のアルバムをリリース。 また自身のGSバンド『KOTARO AND THE BIZZERE MEN』を率いる他、加山雄三をリーダーとする『THE King ALL STARS』にギタリストとして参加するなど、数多くのアーティストと共演。近年では俳優として、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』ほかに出演するなど、多岐に渡って活動している。公式X【@furuichikotaro】公式Instagram【@furuichikotaro】 『Dance Dance Dance』古市コータロー¥6,000直筆ライナー付き8ページブックレット、B2ポスターが封入されたLPレコード。音源が全曲聴けるDLカード付き。CD版はコロムビアミュージックショップ限定で発売中。 取材・文/大野智己 撮影/荻原大志