【独占】ニッポン生まれフィリピン育ち 逆輸入特撮映画『ボルテスV レガシー』ヒットの裏側に迫る監督インタビュー “レガシー”に込められた愛
愛の深さがわかる監督インタビュー
本作は大きすぎる愛が詰まったファンムービーではあるが、未見の観客を決して置き去りにはしない。吹替キャスト陣と同じく、公開初日の舞台挨拶に駆け付けたマーク A. レイエス V監督は、「懐かしんでくれるのはすでにファンの方だけなので、1970 年代のアニメを原作とした映画を現代の新しい観客に届けたいと思いました」と想いを語った。 ここに公開するインタビュー映像では、監督が、愛するボルテスVを実写化する上での細かなこだわりを明かしている。 フィリピンでは国民の大半がストーリーを知られているボルテスVだが、日本凱旋にあたって、ボルテスVとはじめての出会いを果たすであろう日本の観客を意識し、ボルテスVを知らない人でも理解できるようにしたそうだ。原作イメージを壊さず、こういった配慮がなされることは、なかなか難しい。 そして『ボルテスVレガシー』の“レガシー”に込められた意味が、また熱い。実はタイトルを“Next Generation(次世代)”にするという案もあったそうだが、「70 年代の放送からの歴史やポップカルチャーとの関わりを考えると、これからもさらに続いていくものとして“レガシー”が相応しいんです」とボルテスVの今後の発展を信じるコメントを寄せている。新たなファンを獲得し、次世代に残すため発展させる。一生一緒にいてほしい。そんな多大なる原作愛は、日本公開にとどまらず、これからの未来を見据えているのだ。 また宇宙人から地球を守る主人公側だけではなく、地侵略する敵側の描き方にも気を配ったと監督は語る。原作アニメで、マスオさんこと増岡弘がコミカルな演技をした科学者ズールには論理性を加え、武人ドラコには黒澤明的な人間ドラマを加え、キャラクターに深みを与えた。本作で諏訪部順一と飯田里穂が吹替を担当した、ザルドスとザンドラについては、恋愛的な要素を踏まえ関係性を深堀りすることで物語をより豊かに描いた。 これは、原作アニメの総監督を務めた長浜忠夫によるロボットアニメに見られる特徴、敵側にも侵略する理由があるというドラマ性にを持たせたことに通ずる。こういった映画的描写にも原作ストーリーに敬意を持って変化させているのだ。 監督の自身がなによりファンなのである。原作ファンも、そうでない方も劇場で、そのこだわりを、大きな愛を、劇場で感じられるはずだ。 映画『ボルテスV レガシー』は公開中。
otocoto編集部