なでしこリーグのセクハラ告発に谷口真由美「スポーツ界の構造が問題」
2選手はクラブに対策を求めたけれども、自浄作用が働かないから告発することになったという話なんですね。試合に出られないことでメンタルも悪化していて、彼女たちからすると「そもそも何をしに日本に来たんだ」という話になっているでしょう。 ■スポーツ界はハラスメントが起こりやすい構造 2021年に朝日新聞が「スポーツの現場では指導者の3割が周囲のセクハラを認識しているという結果が出ている」という記事を出しています。これは日本スポーツ協会の2019年の調査によるものですが、多くのところでセクハラがあるというのは認識されているわけなんですね。 女性のスポーツであっても男性がコーチ・監督であるということは非常に多いですよね。現場で見ていてもそうです。これは構造上、スポーツ界は女子がトップ・オブ・トップに行けるようになっていないという問題があります。トップになった選手から指導者が出てくるという構造上、男性が多いということなんですよね。 スポーツはある意味社会の鏡なので、社会のジェンダー格差=ジェンダーギャップ指数と、スポーツ界は連動していると言えます。ですから日本の女性がジェンダーギャップがあるという状況においては、その構造は残りやすいということです。 そもそもスポーツ界というのは、ハラスメントが非常に起こりやすい構造の問題を持っています。コーチや監督の言うことに逆らったら選手にしてもらえない、レギュラーにしてもらえないなど、色んな意味で人事権とか裁量権みたいなものが、ものすごく集中しているということがあるので、「ガバナンスをちゃんと高めないといけないですよ」ということが、色んなところから言われていて、スポーツ庁も「女性の役員を連盟に4割入れなさい」と言っています。 ■問われるWEリーグの姿勢とメディアの資質 女性のスポーツに関して、国連の経済社会理事会の諮問資格を持ち、主要なスポーツ団体に提言を行っている「ウィメン・スポーツ・インターナショナル(WSI)」が、なでしこの上位リーグであるWEリーグ(Women Empowerment League)に対して、2024年9月の役員改選は「マズいのではないか」というコメントを先日出しました。