ラグジュアリーブランド は売上低迷のなか、2024年も値上げを続けるのか?
高級ブランドによる値上げは一般的であり、当然とさえ思われている。エディテッド(Edited)のデータによると、2019年から2022年にかけてラグジュアリー製品の価格は、インフレのペースをはるかに上回り、最大25%の上昇だったという。ラグジュアリーブランドは、支出が減速する兆しのない最富裕層の顧客への依存度を高めている。 しかし、現在では、売上の減速はついにラグジュアリー分野にも及んでいる。高級品の売上高は2023年10月に全体で14%減少し、11月にはさらに15%減少した。複数の大手高級品小売店も苦境に立たされており、その中には2023年の最初の数カ月間、販売業者への支払いを怠ったサックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)、ファーフェッチ(Farfetch)やマッチズ(Matches)といったオンライン小売業者も含まれている。ファーフェッチとマッチズはどちらも売上減少の期間を経て、2023年12月、相場よりも大幅に低い価格で売却された。では、意欲的な消費者の支出が抑えられている中、ラグジュアリーブランドは2024年に値上げのペースを落とすようになるのだろうか?
高級ブランドが割引する可能性は低い
高級品再販会社、ファッションファイル(Fashionphile)の創業者、サラ・デイビッド氏は、高級ブランドが現在の高価格を下げる可能性は低いと考えている。インフレ以前の価格をセールスポイントにしているJ.C.ペニー(JCPenney)のような企業とは異なり、高級ブランドがそれほどではない価格設定に下げて、その評判を落とすリスクを負う可能性は低いと思われる。 「高級ブランドが革製品を生産していて、価格が上がらなかった時代はない」とデイビス氏。「過去20年間、パンデミックの初期でさえも、ほぼ毎年、少なくとも年に1回は値上げが行われている」。 だが、デイビス氏は、少なくとも値上げの頻度についてブランドはもっと意識するようになるだろうと期待しているという。 「ここ数年で値上げの頻度が大幅に増えた。金利が下がるにつれて、値上げのペースは鈍化すると信じている。市場の最上位層には常に顧客が存在しているが、高級ブランドはより手頃な価格帯のオプションを追加して、引き続き市場の下位セグメントを埋め合わせている」。