早起きでつくる“子どものこころとからだの健康”。「良い睡眠」の正しい取り方とは
――共働き家庭の親御さんには「子どもをもっと早く寝かせたい」と思っている方も多いと思いますが、「寝かせることに注力するよりも“早く起こす”ことに重点を置いたほうが良い」とお話しされるのは児童精神科医の宇佐美政英先生。早起きから得られる「良い睡眠」について、その大切さや理由、心がけるべきことをお伺いしました。 成績上位層ほど早く寝る?! 東大卒スーパー家庭教師に聞いた「中学受験生の理想的な生活リズムはこれ!」
さまざまな問題の起点になってしまう「睡眠不足」
子どもだけでなく大人もですが、睡眠ってすごく大切なんですね。良い睡眠は心身の疲労を回復してくれますが、徹夜明けなんかで睡眠不足だと、イライラしてしまったり注意力や集中力が低下したりします。 みなさんも経験がありますよね。私自身、寝ても寝ても疲れるなと思うときがあったのですが、スマートウオッチで測定したら酸素濃度が低くなっていました。つまりイビキですね。枕を替えたら、酸素濃度が落ちなくなり、朝もスッキリ起きられるようになりました。 睡眠時間が不足している人は、生活習慣病になる危険性が高いこともわかっています。また子どもの場合は将来的な肥満のリスクも上がりますし、成長の遅れや食欲不振にもつながります。 良い睡眠はこころもからだも健康にしてくれる一方で、睡眠不足はさまざまな問題の起点になるんですね。
「早起き」から始まる生活リズム。大事なのは「朝日を浴びること」
では、良い睡眠を得るために何をすればいいのでしょうか。 まずは、十分な睡眠時間を確保できるような生活リズムをつくることが大切です。そのためには「早起き→早寝」、そして起床直後に太陽の光を浴びましょう。 昔(今も?)は「早寝早起き」と言っていましたが、じつは「早く寝る」ことよりも「決まった時間に早く起きる」ことが大事なんですね。体内時計って本来なら25時間くらいで一周するものなんです。でも地球は24時間で一周する。そのズレは朝起きて太陽の光を浴びることでリセットされます。朝日を浴びてから14~16時間ほど経つとメラトニンが増えて眠くなる。 メラトニンは体内時計を調節するホルモンで、アメリカなどではサプリメントとしてスーパーでも売られています。もともと体の中にあるものなので適量であれば重篤な有害作用はなく、日本でも医薬品として処方してもらうことは可能です。 重要なのは「何時に陽の光を浴びたか」なので、何時に寝るかはあまり問題ではありません。人間って本来寝る時刻の2~3時間前は覚醒する仕組みになっているので、無理に早く寝ようとして寝床についても「寝なくては」と焦ることで眠れなくなったりします。なので「眠くなったら寝床に入る」で十分です。それよりも、朝起きたらすぐに太陽光を浴びること。生活リズムを早めたいならがんばって早起きをしましょう。そして起床時刻はなるべく同じにすることでリズムが整います。